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10月4日 Phaethon恒星食観測キャンペーン大成功!

 小惑星 (3200) Phaethon(フェートン、ファエトンなどと呼ばれる、以下Phaethon)は、毎年12月中旬に出現するふたご座流星群の母親天体であり、太陽近傍で塵(ちり)を出している活動的小惑星です。Phaethonは、日本の次期小惑星ミッションであるデスティニープラス (深宇宙探査技術実証機、DESTINY+)の目標天体です。DESTINY+探査機は、秒速36㎞という高速でPhaethonを通過(フライバイ)する際に、二台のカメラによる追尾撮像とダスト分析装置によりPhaethon近傍の塵の組成分析を行います。

DESTINY+探査機による小惑星Phaethonフライバイの想像図CG (出典:JAXA)

 Phaethonを通過する一発勝負の機会において、カメラの視野から外れたり、ぶれたりせずに確実に撮像を成功させるためには、Phaethonの大きさ、形状、明るさを事前にできる限り正確に知っておくことが非常に重要です。

 小惑星の大きさや形状を求めるためには色々な方法がありますが、中でも直接的に小惑星の大きさや形状を決めることができる、小惑星による恒星食(恒星の前を小惑星が横切る際、恒星の光が遮られる現象)観測は有効です。

  Phaethonの大きさと形状を求めるために、2019年に米国、日本、ヨーロッパなど、世界中で恒星食観測キャンペーンが行われました。日本では、8月に函館を含む渡島半島で観測を行いましたが悪天候のため観測不成立、10月には宮城から山形周辺で観測を行いましたが、同じく悪天候で、観測成立したのは数地点でした。

 2021年10月4日未明、小惑星Phaethon による恒星食観測キャンペーンを四国、中国、近畿地方、及び韓国南部で行いました。約半年前から準備を進め、広く観測の協力を呼びかけ、アマチュア天文家と研究者の共同チームにより行われました。

当日は合計30か所以上で観測が行われ、台風16号通過後の晴天にも恵まれ、10か所以上の地点でPhaethonによる減光の観測に成功しました! 観測内容と速報結果はこちらをご覧ください。

今回の観測結果によるPhaethonの大きさと形状の制約図(10/8時点の暫定結果) (解析とりまとめ及び図の作成は、佐賀市星空学習館の早水勉氏による)

広島と徳島で、今回の観測に参加したPERCの所員による観測の様子は、PERC研究員ブログをご欄ください。

今回の観測成功は、各観測地点の新聞やネットニュースでも取り上げられました。

徳島新聞 (2021年10月5日)、 南紀新報 (2021年10月6日) 、 四国新聞 (2021年10月7日) 、 香川ニュース (2021年10月7日)

この観測成果は、DESTINY+ミッションの成功のために重要であり、結果の詳細な解析により、Phaethonの大きさと形状がさらに正確に決まることが期待されます。

DESTINY+関連リンク 情報:

JAXA DESTINY+ページ

PERC DESTINY+ページ 

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以上

(文責) 荒井朋子

担当:千葉工業大学
惑星探査研究センター