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吉田二美 研究員がIOTA Homer F. DaBoll賞を受賞!

 昨年10月、大成功を収めた小惑星Phaethonの恒星食(掩蔽)観測チームを率いた功績を評価され、PERC研究員の吉田二美さん(産業医科大学特任助教及びPERC非常勤研究員)が、International Occultation Timing Association (IOTA) のHomer F.DaBoll 賞を受賞 しました。
https://www.asteroidoccultations.com/observations/Awards/2022_DaBoll_FYoshida.html

 この賞は、星食天文学とIOTAに対する大きな貢献に対して表彰するものです。全世界でこれまでに22名が受賞しており、日本人で4人目の受賞、 女性では史上初の快挙です。

吉田さん、おめでとうございます!!!

 恒星食(掩蔽)とは、小惑星よりもはるかに遠い恒星の手前を小惑星が横切る際、星の光が一瞬隠される現象です。星が隠される時間は地球上の観測地点ごとに異なります。なぜなら、地球上の位置により、小惑星のどの部分で星が隠されるかが微妙にずれるためです。その特性を活かして、異なる複数の地点で、 掩蔽される恒星の動画を録り、星が隠れた時刻情報を集めることで、小惑星の大きさ・形が復元できるのです。

 掩蔽観測は観測地点が広域に渡るため、多くの人員と観測装置(望遠鏡、赤道ぎ、GPS付高感度カメラなど)が必要です。そのため、観測は、アマチュア天文家と惑星科学・天文研究者の共同チームで行われます。このプロアマ共同チームを組織し、観測を成功させたことが、今回の受賞理由です。

 Phaethonは日本の次期小惑星フライバイ探査計画DESTINY+の目標天体です。DESTINY+探査機に搭載されたカメラは、秒速36kmという高速ですれちがう短時間に、Phaethonを自動追尾撮像します。この一回きりのチャンスで、Phaethonを確実にカメラの視野内に収め、ぶれずに撮影するには、事前にできる限り正確に、Phaethonの大きさと形状を把握しておく必要があります。そのために、掩蔽観測によりPhaethonの大きさと形状を決めることは極めて重要です。

 これまで、2019年8月北海道で観測、2019年10月に宮城県と山形県で観測、2021年10月に四国、中国、近畿地方、観測南部で観測を行ってきました。2019年の観測は天候に恵まれませんでしたが、2021年10月は、台風通過直後という絶妙なタイミングで天候に恵まれ、観測は歴史的大成功でした。今年も10月21日に北海道で、Phaethon掩蔽観測チームが観測を行います。晴れますように!

文責:荒井朋子