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【連載】MMX用ダストセンサー開発中! 第3回「チャンバーインストール」(後編)

小林です。前回から間が空いてしまいましたが、前編に続いて後編です。

なんとかダスト加速器のある大阪大学の佐々木研究室の実験室に真空チャンバーを運び込んだのですが、これを加速器のダストビームラインに取り付けるここからが本番です。70kg以上ある代物ですが、すでにチャンバーを載せる架台もあるので、3~4人くらいでやればなんてことない作業です。

この連載のもう少し先でお話することになりますが、最終的にはアメリカのコロラド大学の静電加速器をつかった実験を行う予定で、実験に必要な経費の予算の関係からその年度内(2017年度)にコロラドで実験をする必要がありました。そのための予備実験として大阪大学の佐々木晶教授の研究室にある小型の静電加速器で実験をしようとしているところです。実験に使う機材などに不備があった場合、現地では対応がつかないこともあるので、事前に準備を万全にしておく必要があるからです。

諸々の経費が使えるようになったのが11月、コロラド大学での実験が2月の後半の予定です。その間に日本で予備実験をしておく必要があるのですが、そのための設備(静電加速器に取りつける真空チャンバー)がない状態から、専用の真空チャンバーの製造を業者さんに発注、納品してもらって納品後は千葉工大で検収した後に大阪大学に運んだ後、静電加速器に据え付ける作業(インストール)が今回のお話です。後々のスケジュールを考えると12月中旬にはどうにかチャンバーインストールをやってしまう必要があります。

とにかく、大阪大学に届いた真空チャンバーを加速器の架台の上に持ち上げる作業だけは複数人のマンパワーが必要です。ただでさえ忙しいPERCメンバー数名の日程の都合をつけて大阪に出張してもらうのは結構大変で(しかも年末)、結局、佐々木晶教授の研究室の大学生さんに手伝ってもらってどうにかすることができました。下の動画は、その時の様子をタイムラプスで記録したものです。

チャンバーインストールの様子

架台に載せた後、チャンバー側のフランジを加速器ビームラインに合わせて固定する作業はスムーズに進み、無事その日のうちにチャンバーインストールを終えることができました。

このチャンバーは今でも大活躍しています。2017年当時、予算の関係上チャンバーの蓋は取っ手がなく、ただの円盤でした。そのため開け閉めだけでも一苦労で少なくとも3名は作業者が必要でした。その後、少しずつアップグレードしていって、今は電動ウィンチで開け閉めできるようになっています。

JAXA革新2号機に搭載されてイプシロンロケットで打ち上げられた、PERCが開発した超小型衛星Asteriscのダストセンサーの感度測定・校正もこの静電加速器とチャンバーで行いました。