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【連載】MMX用ダストセンサー開発中! 第2回「チャンバーインストール」(前編)

 JAXAの宇宙探査計画で、火星衛星探査計画(MMX)という惑星探査ミッションがあります。火星衛星、つまりフォボスとデイモスの起源や火星圏の進化の過程を明らかにすることを目的とした火星探査計画ですが、PERCはこの計画でも搭載機器の開発に関わっています。その一つが大面積ダストセンサーで、火星のダストリングを観測しようとしています。

 前回から間があいてしまいましたが、「火星のリング」を観測するためのダストセンサーを開発してきた様子を紹介します。大阪大学のダスト静電加速器を使って行ったお試し実験について前回の記事に書きました。前回紹介したお試し実験では5cm×5cmのフィルムのセンサーを使って1µm程度のダスト粒子が衝突するような小さな信号でも検出できるということが分かりましたので、次の段階としてもう少し大きなサイズのセンサーを作って性能を確認する実験をすることにしました。

 最終的には1m2程度の大きさを持つセンサーの開発が目標ですが、まずは静電加速器で実験するためにセンサーを収める容器(チャンバー)のサイズの制限から30cm×30cm(0.09m2)程度のセンサーで試験することにしました。センサーの特性上、センサー面積が大きくなると感度が下がりますが、30cm×30cmのセンサーで感度を調べればより大きなサイズのセンサーの感度を推測することができます。

 結局、30cm×30cmより一回大きなサイズが入るチャンバーを業者さんに発注して届いたものが下の写真のものです。

【写真】 サイズ感がイマイチわかりませんが、結構大きくて重い。

 で、でかい。そして重い。これを作ってくれた業者さんは価格をできるだけ安く抑えるために小さなバンの後ろに載せて一人で持ってきてくれたのですが、とても一人で持てるような代物ではありません。当然、バンの荷台から下すときには手伝いましたが、容器だけで70kg以上あるようです。問題はどうやってこれを静電加速器のある大阪大学まで持っていくか、宅配便は抱えて持てる重さのものしか運んでくれません(正確には25~30kgまで)。宅配便の規格を超える荷物は大型機械などを輸送する業者さんにお願いするしかないのですが、輸送代は安くなくトラックの手配をするのに1週間単位の時間が必要になります。

 その後の開発の試験の日程もあるので、とにかく早く送って取り付け(インストール)をしたいと考えて、様々な輸送サービスを調べた結果、予約は前日まででOK、決まったサイズのBOXに荷物を詰め放題、というBOX輸送サービスを見つけてお願いすることにしました。(後編に続く