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放射線試験実施!

ヨーロッパの木星氷衛星探査ミッションJUICE(ジュース)のガニメデレーザー高度計GALA(Ganymede Laser Altimeter)の開発チームに参加しています。GALAは、送信したレーザーパルスが氷衛星であるガニメデ表面で反射して戻ってくる信号を、アバランシェフォトダイオードという光センサをつかって検出し、天体表面の高低差や傾斜角を調べます。

氷衛星がある木星圏内は強い磁場があって、通常の惑星間とは違う放射線環境になっています。この放射線環境によって、アバランシェフォトダイオード(以降、APD)がどのように劣化するか調べるための放射線試験を4月にフランスで行いました。

下の写真は、放射線照射試験を行ったあとに、日本から参加したメンバーと現地スタッフで撮った集合写真です。このほかにも日本国内で別の種類の放射線を使った試験を5月に行いました。

放射線照射が終わった後は、その影響がどの程度なのか調べるために特性測定を行います。特性測定では、APDの光センサとしての感度やノイズを調べるために、APDに校正された光信号を入力して出力信号を測定します。この特性測定作業をするには、APDの温度コントロールをする人、APDへの光入力をする装置を操作する人、電気的な特性の測定をする人の計3人が同時に手順を進める必要があります。照射試験に使用したAPDサンプルは、フランスでの照射試験で12個、日本国内での試験で15個、計27個あります。装置の操作や測定の手順になれてくると1個のAPDを30分で測定し終えるのですが、集中力を切らせないように休憩をしながら進めると、作業は数日にわたります。
かなり大変な作業です。

下の写真は、照射から2か月経過した後にAPDを高温で焼きなますことで性能がどのくらい回復するか、特性の変化を測定した時の様子です。

場合によってやり直しがきかないことがある作業なので、作成した手順書に従って慎重に作業を進めます。

今後も色々な開発試験を行う予定ですので、状況報告などをこのブログでお知らせしようと思います。応援よろしくお願いいたします。
(小林正規)