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3D プリンタを導入しました.

高速度衝突プロジェクト担当の黒澤です. この度PERCの高速度衝突実験室に3Dプリンタを導入することができました. 図1に写真を示します.

図1. 導入した3Dプリンタ

高速度衝突実験では飛翔体を加速し, 標的にぶつけます. 標的そのものや計測機器から伸びた検出部を動かないように固定したり, 高速で飛び出す放出物から計測窓や検出器を保護する必要があったり, あれこれと工夫が必要となります. これまでは簡単な図面を書いて, ありあわせの材料を工作センターで加工をしていただいたりしていました.

余談ですが, こういうときに作るものは「治具」と呼ばれています. なんと英語で書くとjigです. 外国語に当て字をして日本語になったらしいです.

共同研究でお世話になっているお方が3Dプリンタを駆使して, 様々な治具を作成されているのを見て, これは衝突実験にはピッタリだな~ということで検討を始めました. 我々の用途では加工精度はそれなりでよい(~0.5 mmくらい)かわりにそれなりに大きな立体物を作成できる必要がありました. そこで機種の選定を進め上記の写真の機種を導入しました. 300 mm x 250 mm x 200 mmのプリントが可能です. 独立式の2台のプリントヘッドが装備されているので, 複数印刷, 2色印刷が可能である他, サポート剤と呼ばれる水に溶ける樹脂を組み合わせて, それなりに複雑な構造体も作成可能になっています.

2022年に発売されたばかりの商品のためか, まだわかりやすいマニュアルが準備されていなかったのですが, YouTubeで旧機種の初期設定方法を解説してくださっている動画を参考にして初期設定を実施しました.

調整が済んだら試運転をしなければ…!ということでPERC研究員に相談したところ, 山田学 上席研究員より以前に形状モデルの練習台として作成したという「たけのこの里」のobject fileを頂きました. こちら@tompng さんがTwitterで報告されていた「たけのこの里 数式」を使用して作成されたそうです. さすが集合知Twitterですね. 図2に試運転に使用した3D modelを示します.

図2. 試運転用たけのこの里 形状モデル. 3D印刷のため泣く泣く灰色の土台を追加した. Fusion 360を使用.

3Dプリンタは土台から樹脂を積層していくため, たけのこの里そのままの形状ですと, ちょことさくさく生地の境目のくびれのところで印刷が失敗してしまいます. 大変申し訳ないのですが, 仕方ないので土台を追加してしまいました… meiji並びにたけのこの里ファンの皆様へお詫び申し上げます.

印刷を仕掛けて待つことおよそ30分, 図3のように完成しました.

図3. 成果物. 参考のためにmeijiたけのこの里の実物と定規を視野に入れて撮影した. たけのこの里は撮影後に美味しく頂いた.

なかなかよい出来栄えだと思うのですが, いかがでしょうか? 初期調整はうまくいったようです. 今回は性能評価のため, 2色の鏡像印刷としてみました. 先述したとおり, 今回導入した機種は独立式の2台のプリントヘッドを備えているので同じ構造物を2つ同時に印刷することができます.

今後はこれを活用して衝突実験用の治具を製作していこうと思います.

(黒澤)