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「はやぶさ2」竜宮城上にはなにがある?

小惑星探査機「はやぶさ2」は日本時間2018年06月27日午前9時35分に、目標天体である「リュウグウ」から20kmの位置に到着しました。
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20180629je/index.html
色々な方々からお祝いをいただきありがたい限りであるとともに、開発・打ち上げ・到着までのクルージング等々、関係された皆さんに感謝しつつ、いよいよ何年もかけて準備してきた観測を開始できることに身の引き締まる思いでした。

写真1: リュウグウ到着記念の集合写真(2018年6月27日)。 画像クレジット: JAXA (上記URLより)

この「リュウグウ」から20km の位置を、プロジェクトではホームポジション(HP)と呼んでいます。「リュウグウ」は直径1k未満の小さな天体ではありますが、重力があり、なにもせずにいると「はやぶさ2」が「リュウグウ」に引き寄せられ衝突してしまうこともありえます。HP は仮に数日地球との通信ができず高度を保つための運用ができないような事態に陥ったとしても、小惑星に衝突しない十分安全な高度として設定されています。「はやぶさ2」は通常このHP位置付近に滞在し、必要に応じて、「リュウグウ」に近づき観測をしたり、あるいは表面の物質を採ってきたり(タッチダウン)、はたまた SCI という衝突装置を放出したり、という特殊なイベントの後、また HP へ戻ってくるということをします。HP は登山でいうところの「ベースキャンプ」に相当するような場所といえるかもしれません。
HP 到着後およそ10日程の探査機および各機器の初期動作チェックののち、本格的に「リュウグウ」の探査が始まりました。7月20日には、より細かな表面の様子を観測するために高度 6km近くまで「リュウグウ」に近づき観測も行いました。
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20180725je/index.html

図2 望遠の光学航法カメラ(ONC-T)で高度約6kmから撮影したリュウグウ。2018年7月20日16時頃(日本時間) 画像クレジット※:JAXA, 東京大, 高知大, 立教大, 名古屋大, 千葉工大, 明治大, 会津大, 産総研

近づけば近づくほどに、細かな表面の地形が見えてきて、多数の岩塊があることに興味深々です。
(立体視画像:  http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20180731/index.html)
一方で、平らで着陸しやすそうな箇所が少なそうという印象です。小さな「はやぶさ2」が安全に小惑星表面ぎりぎりに近づき物質をとってくる(タッチダウン: TD)には、あまり複雑な起伏のある場所は適さないのです。最終的には、ONCで得られる画像の他にも、小惑星表面の温度環境や、赤外域のスペクトル形状、ライダーという装置による表面の凸凹の情報などを総合的に判断して TD 地点を決めることになります。どこに着陸することになるのかご注目ください!!

(山田学)