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かわべ天文公園の1 m望遠鏡で (3200) Phaethonを観測

12月6-10日、和歌山県日高川町のかわべ天文公園にある1 m望遠鏡を使って、日本大学の阿部研究室を合同で、(3200) Phaethon(フェートン)の観測を行いました。
ふたご座流星群の母天体である小惑星フェートンは惑星探査研究センターが全面的に協力している深宇宙探査技術実験ミッションDESTINY+がフライバイする小惑星です。
フェートンは地球に接近する小惑星で、水星軌道より内側から小惑星帯の中程までに達する細長い楕円軌道を公転しており、フェートンの表面は太陽近くでは約1000 Kに熱せられ、小惑星帯付近では200 Kに冷やされます。フェートンはこの800 度の温度差を1.43 年の公転周期で繰り返し経験しているという非常に珍しい天体です。小惑星2005 UDは過去のある時点でフェートンから分裂した天体と考えられていますし、フェートンが太陽近くを通過した直後に彗星活動が観測されたこともあります。これらのことからフェートンは太陽熱で崩壊しつつあるのではないかと考えられており、多くの研究者がこの稀有の小惑星に注目しています。
千葉工業大学と日本大学の研究者はかわべ天文公園の1m望遠鏡でフェートンの光度変化とカラー変化の観測データを取得しました。現在データ解析中です。ここで取得したデータはフェートン観測キャンペーンを取りまとめる研究者に提供され、DESTINY+ミッション成功の鍵となる地上観測データの一部として使用されます。

小惑星 (3200) Phaethon(フェートン) 太陽系内の天体なので恒星とは異なる動きをします。左は望遠鏡を恒星追尾させた場合。フェートン恒星の間を動いて見えます。右は小惑星フェートンを追尾した場合。今度は恒星の方が線状に映ります。