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モンゴルで気球実験を行いました!

こんにちは。PERC研究員の奥平です。
先月、モンゴルで小型気球実験を行いましたので、その様子を紹介したいと思います。
まずこの実験は、小型(中型)の成層圏気球を使って、宇宙から地球へ入って来る小さな物質を成層圏で採取することにチャレンジするものです。
気球には気象観測などでも使われている大きなゴム気球を使います。ゴム風船にヘリウムガスを入れると上空に昇っていきますが、この原理で高度30kmまでサンプリング装置をもって行きます。
9月下旬、モンゴルの首都ウランバートルへ入りました。

ウランバートルの中心にあるチンギスハーン広場。反対側に国会議事堂がある。

ウランバートルは北緯48度と北海道より北に位置し、標高も1300mほどあります。日本ではまだ残暑でしたが、ここでは綺麗な紅葉が見られました。冬はマイナス30度まで下がるそうです。この都市には近代建築が立ち並び、国の人口(300万人ほど)の半数近くが集まっています。日本の中古車(右ハンドル)が多く走っていますが、ハイブリッド車(特にプ○リウス)と大型四駆(特にラ○クル)は日本よりずっと多いと感じました。
一方、ウランバートルの郊外へ出るとすぐに広大な草原が始まります。羊、山羊、馬、ラクダなどの群れに頻繁に出会います。野生の群れもいます。

今回の実験の拠点は、ウランバートルから東へ50km程走ったところにある、キャンプ用のゲルが並んだ村です。ゲルは伝統的な遊牧民の移動式住居ですが、現在は至る所で様々な用途で使われているようです。

今回の拠点となったゲル村。3方は岩山で囲まれ、標高は1500mほど。

朝早めにウランバートルを出発して午前9時頃に到着。
到着後すぐに、協力関係を結んだモンゴル工業技術大学の先生、生徒さん達と準備を始めます。

ヘリウムガスの準備をするモンゴルのスタッフ。ヘリウムはモンゴルで調達してもらいました。

気球、観測装置、安全装置等のチェックや組み上げなど全員で作業を進めていきます。
放球2時間前、落ちた装置を回収するための回収班が落下予測地へ向け出発します。
放球1時間前、ゴム気球にヘリウムガスを入れはじめます。

気球のすぐ下には赤いパラシュートが、手前に伸びているロープの先には観測装置が付く。

そして昼過ぎ、ついに放球!
放たれた気球は秒速5メートルほどで上昇していきます。上昇速度はガスの充填量で変わります。

水平方向にも風に乗って移動します。上空の風は地上と大きく違うので、その風向や風速を把握しておくことが重要です。気球実験では予め飛行経路を計算しておきます。
放球して間もなく、放球担当も既に見えなくなった気球を追って出発します。気球に付けた送信機からは、GPSの位置情報が送られてくるので、地図で確認しながら追いかけます。

追跡車には気球からの信号を受信するための装置とアンテナを搭載。

放球したゴム気球は、高度が上がって気圧が低くなるにつれ膨張していきます。高度30kmあたりで膨張の限界に達し、ついに気球は割れてしまいます。そしてパラシュートを開いて地上へ落下します。
(今回2回のフライトを行いましたが、2回目は30km上空に浮かぶ気球を地上から目視することができました。運よく破裂の瞬間を見た人もいます。)
気球が落下したのはゲル村からおよそ100km離れた場所でした。
落下後に気球からの信号が途絶えてしまいましたが、最後の受信データを使って、何とか見つけることができました。

落下した気球を発見。写真中央あたりに赤いパラシュートが見える。

結果として3班に分かれて探すことになりましたが、落下地点では無線も携帯も届かず連絡が取れなかったため、各班が自力で別々の方角から到着しました。

その後、パラシュート、通信装置、観測装置などを回収して帰りました。
今回の実験は2日間でしたが、その間ゲルに泊まりました。満天の星も堪能できました。

ゲルの内部。この時期、夜中は冷えるのでストーブを焚く。

そして、気球のカメラが撮った映像がこちら。

以上、モンゴル気球実験の様子でした。
実は、日本テレビ「所さんの目がテン」の撮影班が同行し、とても面白い実験もしています。11月6日と13日に放送予定ですので、ご興味のある方はぜひご覧下さい。
(奥平修)