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NOAA(アメリカ海洋大気庁)のマリアナ深海探査航海の記事が掲載されました

4月20日からNOAA(アメリカ海洋大気庁)の、2016年マリアナ海域深海探査航海(Deepwater Exploration of the Marianas)が行われています。科学チームに参加しております松本亜沙子です。
今回のマリアナ航海は全69日間にわたって、マリアナ海溝海洋国家遺産、および北部マリアナ諸島自治連邦区で行われます。研究船・無人探査機(ROV)などのプラットフォームを用いた広域科学調査により、海域の基礎となる情報を収集することが目的です。
マリアナ航海では商業的に重要な水産資源をはじめとした深海・冷水域サンゴ生態系や、泥火山や熱水鉱床を形成する熱水噴出孔などもターゲットとなっており、海底マッピングのほか海底地質・水質データなどの調査も行います。潜水船のダイブでは深海では一般的な海洋鉱物資源として知られるマンガン団塊・マンガンクラストも見ることが出来ます。
Leg.1は5月10日に終了し、6月17日からLeg.3が始まりました。
マリアナ航海のLeg.1では、千葉工大の名前も流れたライブ映像はグァムのアンダーウォーターワールドやグァム大学でも流され、インターネット経由ではなんと250万ヒットを記録しました。Leg.1とLeg.3の間のLeg.2は現在行っている潜水船調査を行うためのマッピングを行いましたが、
そのLeg.2中に私の書きました“マリアナの深海動物相:孤立か連結か?(The Deep-sea Fauna of the Marianas: Isolated or Connected?)”がNOAAのミッション・ログに掲載されました。
http://oceanexplorer.noaa.gov/okeanos/explorations/ex1605/logs/may10/welcome.html
ミッション・ログは航海についてのトピックスを研究者が紹介していく形のログになります。私はマリアナ海域の深海サンゴの生態系と日本の深海サンゴ生態系の関係について書かせて頂きました。

Image courtesy of NOAA Office of Ocean Exploration and Research, 2016 Deepwater Exploration of the Marianas. http://oceanexplorer.noaa.gov/okeanos/explorations/ex1605/logs/may10/media/1605redcoral-590.jpg

写真1はLeg.1で観察されたマリアナ海域での深海・冷水域サンゴ群集です。中央の濃いピンク色が宝石サンゴの仲間になります。右側の機械が潜水船のアームになっており、岩石標本や生物標本はこのアームを操作して採集しています。
今回のマリアナ海域のすぐ北には日本の小笠原があり、マリアナ海溝と伊豆・小笠原海溝は繋がっているため、本文中では小笠原の宝石サンゴや日本ウナギの回遊についても触れています。

Image courtesy of NOAA Office of Ocean Exploration and Research, 2016 Deepwater Exploration of the Marianas. http://oceanexplorer.noaa.gov/okeanos/explorations/ex1605/logs/may10/media/1605coralgarden-700.jpg

写真1内の薄いピンクや写真2で森や林のようになっている白い深海サンゴは別の種類です。今後のダイブでも沢山の深海生物や、熱水などの映像が見られると思います。
興味の或る方はライブストリーミングをご覧下さい。
http://oceanexplorer.noaa.gov/okeanos/media/exstream/exstream.html
ライブストリーミングの時間外には過去の動画を見ることが出来ます。
是非映像をご覧になって海洋調査と海底の美しい深海のサンゴ礁を楽しんでみて下さい。
そのほか本航海の動画や写真なども以下のページで見ることが出来ます。
http://oceanexplorer.noaa.gov/okeanos/explorations/ex1605/welcome.html
(松本亜沙子)