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BOTAN始動の舞台裏
こんにちは。PERC広報担当の下山です。
巷で話題の高度技術者育成プログラム4号機『BOTAN』は、現在の学部4年生チームがつくった1Uサイズのキューブサットです。

今年9月15日にロケットで打ち上げられ、10月10日に国際宇宙ステーション(ISS)から地球周回軌道に放出されました。
そして運用初日という異例の早さで初期ミッションを達成し、10月17日に本運用に入りました。
まさに“あっという間に”成果を出した『超優秀な四女:BOTAN』始動の舞台裏を写真と共に振り返ってみたいと思います。
【10月10日(金)】
BOTANが国際宇宙ステーション(ISS)から放出される日。4年生は二手に分かれました。
メンバーの半分はつくば・JAXAへGo!

キューブサットは主にISSの「きぼう」日本実験棟のロボットアームから宇宙へ放たれます。その様子はライブ中継され、併せてオンライン配信イベントが行われます。衛星の紹介映像が流れたり、『Go /No Go call』という「衛星放出を決行か?中止か?」の最終確認のコールをしたり、最後に代表者が挨拶をしたり…つくば・JAXA組の4年生はそれをやりに行ったというワケです。

JAXAの衛星放出イベントの様子(パブリックビューイング会場にて撮影)
現在、ISSには油井亀美也宇宙飛行士が滞在中なので、イベント中、いつもとは違って油井宇宙飛行士からビデオメッセージもいただいて、おぉ~!特別感!と嬉しくなりました。
ちなみに、油井宇宙飛行士が千葉工大の衛星放出に関わってくださるのは今回が2度目。2015年に日本初の3UサイズキューブサットであるPERC超小型衛星1号機・流星観測衛星「S-CUBE」の放出も担当くださいました。その際もISSから生メッセージをくださり、興奮したことを覚えています。 勝手ながら“ご縁が深い!”と思っています。
「S-CUBE」のISSからの放出映像はこちら

右は油井宇宙飛行士の前にISSに滞在した大西宇宙飛行士、左は油井宇宙飛行士のパネル。油井宇宙飛行士、メッセージと素敵なお写真をありがとうございました!
さて、大学に残ったメンバーは、衛星放出のライブ中継イベントをみんなで見守ろうと、新習志野キャンパスでパブリックビューイングを開催しました。1・2年生が学ぶ新習志野キャンパスで開催するのは初めてです。(注:いつもは3・4年生や大学院生がいる津田沼キャンパスで開催しています。)

3年生(5号機生)達が告知や準備をがんばって、BOTANができるまでをまとめた展示をつくったりして盛り上げました。また、近々スタートする6号機生募集に向けて、学部1年生対象の相談コーナーが設けられました。


4年生も司会進行や会場内でのBOTANの説明をがんばりました。


そして、待ちに待ったBOTANの始動の瞬間が!

普段、学生さん達の奮闘を傍から見ているだけの私でさえ感動で泣きそうになったので、開発した4年生はさぞや、と思って終了後に感想を聞いてみたら、感動に浸るどころではなかった様子…何故か?
それは…
今回、BOTANは放出後すぐにLED点滅により動いているかどうかがわかる仕掛けを積んでいたからです。LEDが光ったかどうか、ライブ中継の映像を見る限りは確認できず、4年生は不安でドキドキだったようです。
ですが、その後、映像をアップで確認したら…

(画像提供:JAXA/NASA)
ちゃんと光っていました!!宇宙でのLチカ!すごい!!SNSでも絶賛されていました。
通常、衛星が動いているかどうかは電波を受信できるまではわからないのですが、衛星放出のライブ中継があることを利用してのこの仕掛け!!LEDが光ればすぐに衛星が動いているとわかるという発想力に脱帽です。学生さん達の柔軟な思考に、ただただ感心するばかりです。
とにもかくにもBOTANは放出されました。千葉工業大学での最初の運用は翌朝5時。この時間に初めてBOTANが千葉上空を通る為です。それまでは、仕事帰りに駆けつけた卒業生も交えてささやかな打ち上げパーティー!
でもお酒は飲みません。何度も言いますが、翌朝5時に運用が待っているから…

実はこの時点で、BOTANが上空を通過した日本以外の国のアマチュア無線家から続々とBOTANの電波受信成功の報が届いており、『BOTANは無事動いている!』とみんなわかっていたので、お祝いムード満載でした♪
【10月11日(土)】
BOTANの初期運用初日です。BOTANが動いていることはわかっていても、やはり自分達で直接交信して実感したいと、最初の運用を前にミーティングです。これが朝4時台…

そしてこの後、早くも地球の写真が撮れ、温度データも取れ…。
初日なのに続々と成果が出てくるのですが、学生さん達は決して満足せず、1回の運用が終わる度にミーティングを重ねて新たなアイディアを出し合っていました。アドレナリン出まくり状態です。

その熱意と固いチーム力を前に、指導する原田研究員は「学生の体力についていけません。さすがにおじさんは限界です。」と、学生さん達にお任せして仮眠を取っていました(笑)。“お任せ”できるのは去年までの先輩達の1~3号機の運用を一緒にやっていて経験値があるから。頼もしい!
【10月14日(火)】
そんなこんなで初期運用4日目。この日までの撮影した地球の画像を連結。こちらもSNSで大きな話題になっていました。特に上の4枚目と5枚目は地球と宇宙の境目がとても綺麗に撮影できています。

【10月17日(金)】
最速で結果を出したBOTANはこの日、人工衛星局相当アマチュア局免許が交付されて本運用に入りました。
BOTANは今現在も、素晴らしい成果を次々とあげています。
高度技術者育成プログラムの公式Xで随時報告していますので是非チェックしてみてください!

