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学生主体で製作した超小型衛星「YOMOGI」が初期ミッションを達成
―3衛星連続の初期ミッション成功―

<概要>

拡大する宇宙産業を支えるため、宇宙で確実に動くものづくりができる人材育成を目指した高度技術者育成プログラムの一環として、本学学生が開発した超小型衛星「YOMOGI」が、初期ミッションを達成しました。
「KASHIWA」(2024年4月11日ISSから放出)、「SAKURA」(2024年8月29日ISSから放出)に続き、今年度打ち上げた3機の超小型衛星は全て運用に成功しました。

<詳細>

世界の宇宙産業はここ数年で数倍に拡大しており、我が国でも旧来の宇宙企業に留まらず多くのベンチャー企業が宇宙ビジネスアイデアを提案し企業活動を開始しています。しかしながら新たなビジネスアイデアを実現するために不可欠な技術者が圧倒的に不足しています。本学では、社会課題解決のための宇宙を使ったソリューションを確実に実現できる衛星づくりができる技術者を育成するために、2021年4月より「高度技術者育成プログラム」を行なってきました。

「YOMOGI」は2021年6月に当時の学部3年生が開発に着手した10cmx10cmx10cmの超小型衛星(1U キューブサット※1)です。2024年12月5日(日本時間)アメリカ・スペースX社ファルコン9ロケットで打ち上げられ、同社のドラゴン補給船CRS2-31号機にてISSに輸送されました。2024年12月9日(日本時間)に国際宇宙ステーション(ISS)から放出された後、地上と衛星間の通信が確立され、2024年12月17日、人工衛星局相当アマチュア局免許が交付されました。衛星基本機能の宇宙空間での動作確認を行い、「YOMOGI」で計画していた初期ミッションを以下の通り達成しました。

  1. ミニマムサクセスレベル(最低成功条件)「衛星が撮影した画像1枚を地球上で画像に復元する」をクリア
  2. APRS(※2)による一般アマチュア無線家へのメッセージ送信

初期ミッションは放出2日で達成され、完成度の高い仕上がりを示すことができました。

今後数ヶ月の間、千葉の放置林に設置した森地上局からのデータ取得、千葉県御宿町に設置した海地上局からのデータ取得、赤潮の観測、アフリカの湖の水質調査に挑戦するとともに、SNSやウェブサイトを通じて「YOMOGI」が取得したデータを公開してまいります。

本プログラム開始からの3衛星「KASHIWA」、「SAKURA」、「YOMOGI」が連続で初期ミッションを達成しており、本プログラムが目指す「確実に動く衛星を作れる高度技術者の育成」が着実に成果をあげてきていることを確認できました。

(※1)キューブサット
1辺10cmの立方体サイズ・1kg程度の質量からなる(1Uサイズの)超小型衛星。世界的にも多くの大学・企業が参加し、衛星製造・運用の入口として活用されています。近年では3Uサイズの衛星単体、あるいは複数機をつかった実用的な衛星利用も始まっています。
(※2)APRS
Automatic Position Reporting Systemの略であり、アマチュア無線局がアマチュア無線電波上に生データをリアルタイムに配信するパケット通信プロトコルです。

超小型衛星「YOMOGI」の外観

担当:趙 孟佑
千葉工業大学 惑星探査研究センター 主席研究員/工学部 機械電子創成工学科 教授