小型観測ロケット研究開発プロジェクトProject

概要

高度100kmの宇宙に到達する小型観測ロケットを開発し、宇宙由来の微粒子採取を試みるプロジェクトです。特に、流星群がやってくる時期には大量の宇宙塵が地球に降り注ぐため、流星群がやってくる時期に小型ロケットの打ち上げを行い、採取を行うことを予定しています。そのためには、流星群の時期に合わせた柔軟なロケットの打ち上げ実験の実施が求められています。

そこで、本研究では、安全性が高く、低コストで、即時発射性にも優れた高度100kmに到達可能なハイブリッドロケットを大学主体で開発し、採集装置を宇宙空間に到達させる予定です。また、柔軟な打ち上げウィンドを確保することから、従来の陸上から打ち上げる方式ではなく、洋上からのロケット打上実験や空中発射による打ち上げの検討も行っています。現在は、洋上発射実験に必要な基礎データを取得する目的で、小型ロケットを用いた洋上発射実験を実施しています。

プロジェクトの主要な活動

研究ハイライト

2015年度 プロジェクト発足
推力1.5kNハイブリッドロケットのモータの燃焼実験に成功
2016年度 千葉県御宿町に惑星探査研究センターロケット実験場を設置
7月8日、伊豆大島にて推力1.5kN級モータを用いて超音速飛翔ハイブリッドロケットの打ち上げに成功、高度約5000mに到達
2017年度 高度30km用推力5kN級燃焼台製作
ハーフサイズ燃焼実験として推力2.5kN級燃焼実験実施
2018年度 ASTROCEAN社との洋上発射に関する共同研究を開始
2019年3月2日 網代湾上に固定した洋上フロートから国内初のロケット洋上発射実験に成功
2019年度 ASTROCEAN社、大林組と洋上発射実験に関する共同研究を開始

動画

これまでの成果

2016年7月8日に伊豆大島にて、超音速に到達する小型ハイブリッドロケットの打ち上げ実験に成功しました。実験には、本研究で開発した、ハイブリッドロケット専用の燃料である、低融点熱可塑性樹脂を搭載し、酸化剤には亜酸化窒素が用いられました。ロケットは全長2.5m、打ち上げ時の重量は17kgで機体は超音速の飛翔に耐えられるよう高強度のCFRP(カーボン繊維複合材料)が用いられました。ロケットは、伊豆大島南端の差木地広場から打ち上げられ、テレメトリのデータから高度4.9kmに到達したことがわかりました。そして解析の結果、マッハ1.22で飛翔したことがわかり、超音速ロケットの飛翔実験に成功したと考えています。

2019年3月7日には千葉県夷隅郡御宿町の網代湾上に浮かべられた洋上フロートから超小型ハイブリッドロケットが打ち上げられ、高度200mに達し、国内初となるロケットの洋上発射実験に成功しました。本実験では、世界初となる大学ロケットによる洋上発射実験の実施を、共同研究契約に基づきPERCとASTROCEAN社が千葉県夷隅郡御宿町の網代湾上から岩和田漁協全面協力の下、高度200mに向けた超小型ロケットを用いて行いました。今後開発する高度30km、100km級ロケットの洋上発射実験に向け基礎的な技術の確立が目的です。当日は、穏やかな天候の中、洋上フロートが漁船に曳航され発射ポイントまで移動し、4つのアンカーで洋上に固定されました。中心に建てられた発射台にロケットがセットされ、わずかに発射台が波の影響を受けて揺動している中、超小型ロケットが点火され高度200mに到達しました。波の影響によるロケットの発射台離脱時の姿勢変化には大きな影響はなく、また、発射台に搭載された加速度センサの値から、発射時のフロートの詳細な挙動が解析されました。これらの成果は、2020年度に実施される高度30km級小型観測ロケットの洋上打ち上げ計画に反映されていく予定です。

ギャラリー

担当研究員:和田 豊 (ワダ ユタカ)
千葉工業大学 惑星探査研究センター 主席研究員(非常勤)