概要
MMX はJAXAが中心となって遂行する火星衛星探査計画(Martian Moons eXploration)の略称です。MMXは、火星の衛星であるPhobosとDeimosを探査し、その表面から試料を地球に持って帰ってくるという計画であり、火星衛星の起源を明らかにし、火星圏および地球型惑星の形成進化の謎を解き明かすことを目的としています。PERCでは、MMXのサイエンスを推進する主要メンバとして、また二つのMMX搭載観測機器の開発を主導するなど、様々な形でMMXに参画しています。
PERCの取り組み
MMXへのPERCの主な取り組みは以下の通りです:
レーザ高度計(LIght Detection And Ranging: LIDAR)の開発主導
LIDARは、レーザを照射しその反射光を計測することで、探査機と探査対象天体との距離を測る装置で、探査機の運用に欠かせないものです。一方で、探査対象の形状モデル作成や探査天体の表面状態の調査などの科学的貢献が期待されています。小惑星探査機「はやぶさ2」のLIDARチームの一員としても活躍した実績をもつ千秋博紀主席研究員が、LIDARのPI(Principal Investigator: 主任研究者)としてLIDAR開発を主導しています。
ダストカウンター(Circum-Martian Dust Monitor: CMDM)の開発主導
CMDMは火星圏および火星衛星周辺のダストの存在量を計測する装置です。火星衛星によるダストリングの存在の有無を明らかにすることをはじめ、火星衛星からのダスト放出と再堆積過程を通じた火星衛星表層環境進化を読み解く鍵となるデータを取得することを目的としています。水星探査機「ベピ・コロンボ」のダストカウンター開発でも主要な役割を担った小林正規主席研究員が、CMDMのPIとしてCMDM開発を主導しています。また、奥平修研究員、平井隆之研究員もCMDM開発の一翼を担っています。
MMX サイエンスボード(Science Board: SB)メンバとしてMMXのサイエンスを主導
SBとは、MMXのサイエンスを主導する、他の日本の惑星探査ミッションでは見られないMMX独自の組織です。MMXの根幹となるミッション要求の制定をはじめ、サイエンスを行う上での課題抽出とその解決方法の提示やサイエンス活動のとりまとめなど、重要な役割を担っています。そのSBのメンバとして和田浩二主席研究員、千秋博紀主席研究員が活動しています。
様々なサブサイエンスチームやワーキングチームに参画
MMXが掲げるミッション目的を達成すべく結成されたサブサイエンスチームや、観測・着陸運用検討などのワーキングチームなど、MMXの各種傘下チームの活動にもPERCメンバは積極的に参画しています。
動画
YouTube公式チャンネル「JAXA Channel」より引用
ギャラリー
担当研究員:和田 浩二 (ワダ コウジ)
千葉工業大学 惑星探査研究センター 副所長(主席研究員)