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「空気シャワー」の可視化に“偶然”成功!
すばる望遠鏡によって宇宙線粒子群を高精細に撮像

 国立天文台、大阪公立大学、千葉工業大学、法政大学の研究者を中心とする研究グループは、米国・ハワイ島・マウナケア山頂に設置されたすばる望遠鏡(主鏡口径8.2m)の超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam (HSC) の撮像データにおいて、前例のない位置分解能で空気シャワーが可視化できていることを発見しました。
 宇宙から到来する高エネルギーの粒子(宇宙線、1912年に発見)は、地球大気に入射すると大量の高エネルギー粒子群(空気シャワー)となって地表に到来しています。天体観測にとってはノイズとなってしまう宇宙線ですが、研究グループは、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHSCのデータを長期間にわたって詳しく解析し、13事象の空気シャワーを検出できていることを発見しました。これは、100枚を超える大型(6cm×3cm)の撮像素子Charge Coupled Device (CCD)を搭載するHSCならではの研究成果です。この検出手法を発展させることで、空気シャワーのさらなる理解や暗黒物質(ダークマター)の探査、物質優勢の宇宙の解明につながる可能性も考えられています。
 本研究成果はSpringer Nature社の国際学術誌である「Scientific Reports」に2023年10月12日に掲載されました。

すばる望遠鏡HSCで可視化された高エネルギー粒子群(空気シャワー)

論文情報

【発表雑誌】Scientific Reports
【論 文 名】Observing Cosmic-Ray Extensive Air Showers with a Silicon Imaging Detector
【著 者】Satoshi Kawanomoto, Michitaro Koike, Fraser Bradfield, Toshihiro Fujii, Yutaka Komiyama, Satoshi Miyazaki, Tomoki Morokuma, Hitoshi Murayama, Masamune Oguri, Tsuyoshi Terai
【掲載 URL】https://www.nature.com/articles/s41598-023-42164-4

担当:諸隈 智貴 (モロクマ トモキ)
千葉工業大学  惑星探査研究センター 主席研究員