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小惑星リュウグウ粒子の微小断層から読み解く天体衝突

本研究のポイント

  • 探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った小惑星リュウグウの粒子を高分解能電子顕微鏡で詳しく調べ、リュウグウを作る岩石に小天体が衝突した際の温度と圧力の上昇度を評価しました。
  • 主要鉱物である粘土鉱物は、脱水分解を全く起こしておらず、衝撃温度は500℃より低かったことを明らかにしました。
  • リュウグウ粒子に見つかった断層構造と新たに発見した高密度の硫化物鉱物から、衝撃圧力は約2万気圧であり、天体衝突で発生する圧力としては、かなり小さな値であることを明らかにしました。
  • 水を含む天体での衝突は水蒸気爆発を引き起こし大量の岩片をまき散らしますが、リュウグウではそのような活動は活発ではなかったことが明らかになりました。

概要

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 大和裕幸、以下「JAMSTEC」)超先鋭研究開発部門高知コア研究所の富岡尚敬主任研究員を中心とする研究グループは、探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った小惑星リュウグウの粒子を高分解能電子顕微鏡で詳しく調べ、これらの粒子が経験した穏やかな天体衝突の痕跡を発見しました。本成果は英科学誌「Nature Astronomy」に4月21日付(日本時間)で報告されます。

担当:黒澤 耕介 (くろさわ こうすけ)
千葉工業大学 惑星探査研究センター 上席研究員