上席研究員
大野 宗祐Sohsuke OHNO
東京都出身。東京大学理学部卒業、同大学院博士課程修了。博士(理学)。
専門はアストロバイオロジー、惑星科学、生物大量絶滅。
元々の専門は惑星科学で、特に惑星に天体が衝突する際の化学反応についての実験的研究や、天体衝突がもたらす環境変動や生物大量絶滅についての研究を行ってきました。恐竜などが絶滅した白亜紀末(6600万年前)の大量絶滅の研究(Ohno他2014,nature geoscience)では、世界初の宇宙速度での衝突蒸発・ガス分析実験により、隕石衝突で硫酸になりやすい三酸化硫黄が放出されること、強い酸性雨と海洋酸性化が大量絶滅で非常に重要な役割を果たしたことを明らかにしました。これにより、白亜紀末の生物大量絶滅を引き起こした環境変動を、初めて海洋の絶滅まで含め包括的に説明することに成功しました。
現在PERCでは、アストロバイオロジー研究の担当です。地球の生物圏の上端(biopause)を観測することを目指すBiopauseプロジェクト(大気球を用いた成層圏微生物採取実験)の責任者をしています。JAXAなど他機関の研究者と共同でチームを組み、地球大気の上部(成層圏)まで気球を飛ばし、微生物が居るかどうか調べます。2016年の実験では、世界で初めて難培養性のものを含めた成層圏微生物の観測に成功しました。
生物圏の上端について理解することは、地球の生命が宇宙に出て行ったり地球に生物が入ってきていたりということがあり得るのかどうか、我々地球型生命が地球に固有の存在なのかどうかを知る為の重要なステップです。それは、宇宙の中で地球がどのような存在なのか、そして生物や人類がどのような存在なのか、私たちが考える基盤になるはずと考えています。