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日本天文学会2023秋季年会・企画セッション「マルチメッセンジャー宇宙物理学」にて講演

 2023年9月20-22日に名古屋大学にて開催された日本天文学会2023秋季年会に諸隈・秋田谷が参加し、それぞれ講演を行いました。

 日本天文学会では、毎回開催される通常セッションとは別に、年会ごとにその時に旬なトピックを扱う企画セッションが行われます。今回の年会では、「マルチメッセンジャー宇宙物理学」という企画セッションが開催されました。

 マルチメッセンジャー宇宙物理学とは、文字通り、複数のメッセンジャーを用いて宇宙を研究する、宇宙物理学の新しい研究手法です。メッセンジャーとは、情報を伝達する媒体のことで、これまで天文学・宇宙物理学の多くの部分は「光(電磁波)」を用いて行われてきましたが、最近の観測技術の発達により、電磁波以外の重力波、ニュートリノ、宇宙線などの媒体も用いた観測的な研究が目覚ましい発展を見せています。本企画セッションは、それらの進展・現状を多くの天文学会員と共有するとともに、今後の展望について議論するために企画されました。

  諸隈は「重力波・ニュートリノ放射天体に対する可視光・赤外線観測」というタイトルで基調講演(講演番号:Z121r)を行い、マルチメッセンジャー宇宙物理学において可視光・赤外線観測が果たしてきた役割や特長、国立天文台・すばる望遠鏡(口径8.2m)の新観測装置や他の新望遠鏡等を用いた今後の展望についてまとめました。秋田谷は「近紫外線波長帯の効率を高めた撮像装置の開発・製作」というタイトルで、現在、千葉工業大学・惑星探査研究センターにて開発を進めている近紫外線に最適化した観測装置について、口頭・ポスター講演(講演番号:Z117b)を行いました。

 会場におさまりきらないほどの聴衆が集まり、講演中の質問時間のみならず、活発な議論が行われ、このトピックへの関心の高さがうかがわれました。PERCでは、諸隈・秋田谷が重力波電磁波追観測グループJ-GEMに参加する等、精力的にマルチメッセンジャー天文学を推進しています。

講演を行う諸隈(左)と企画セッション世話人・吉田滋氏(右・千葉大学)


参考リンク: