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千葉市科学館 大人が楽しむ科学教室で講演してきました.

こんにちは. 高速度衝突プロジェクト担当の黒澤です. 去る6月4日(日)に千葉市科学館が主催している「大人が楽しむ科学教室」にて講演をさせていただきました. 館長が研究者に声をかけ定期的に開催されているそうです. 昨年度に高速度衝突プロジェクトから発表した方解石の新しい衝撃指標の研究に興味を持って頂いたそうで, 今回お声がけを頂きました. プレスリリース, 準備は大変なのですが, 意外と読まれているんだなぁ…, しておいてよかったなぁ…と思いました. コロナの影響が少なくなってきて対面での開催が復活したものの, 入場者は30名ほどに絞っている, とのことでした. 毎回抽選で絞らなければならないほど人気の講座だそうです. 

京成千葉中央駅から歩くこと約10分, 千葉市科学館Qiballが見えてきます(図1). さすが政令指令都市の科学館だけあり, 綺麗で立派な建物(図2, 3)です. 8–10階に跨る様々な展示に加え, プラネタリウムも備えているそうです. 8階に向かうエレベータの内装(図4)も凝っており, 万人が楽しめる建物となっておりました. 

図1. Qiball外観.

図2. Qiball入口.

図3. Qiballの入口ホール. 天井に見える丸い空間内がプラネタリウムになっている.

図4. Qiball内のエレベータの内装.

地球の石と宇宙の石の違いを体感して頂くべく, 黒澤が所有している研究用の岩石試料(地球の石, 隕石)と私物の隕石標本と, 3–Dプリンタで作成されたリュウグウ粒子模型も持参しました(図5). 7階受付にて館長の井上厚行さんにご挨拶して, 隕石をお見せしたところ, 岩石マニアだという事務員の方とともに大変喜んでくださいました. 10階にある会場に向かう間に井上館長による常設展示の説明もいただきました. その充実ぶりにまた個人的に来てみよう, と思うほどでした. 会場に講演の30分ほど前に到着し, PCの接続テスト, マイクの音声テスト, 照明の塩梅確認などを行い, 持参した試料を急遽用意して頂いた机に並べて準備が完了しました(図6).

図5. 持参した黒澤の隕石コレクション(私物も含む).

図6. PCの接続テストの様子. 奥の机に持参したリュウグウ粒子模型, 隕石, 地球の岩石などを展示した. 講演の後にお客様に手にとって観察していただいた.

講演開始15分ほど前から抽選を勝ち抜いたお客様が来場しはじめました. 小学生からお年寄りまでご来場いただきました. 今回は知り合いのご夫婦も来てくださり, 結構緊張してしまいました. 今回は「天体衝突の研究者からみたリュウグウ探査」と題して講演を行いました. 黒澤は前職のときにサンプラの開発に少し協力させていただいたり, 試料の初期分析チームに所属しております. この手の科学イベントに来場されるお客様はきっとどこかですでにはやぶさ2についての講演を聞かれているだろう, と予想しました. 一般的な話はさらっと紹介するに留め, 天体衝突を研究している一研究者の目線からはやぶさ2の開発段階の話や, 近傍観測による成果, 試料分析チームがどのように準備を進めてきたか?などをお話しました. それに加えて普段どのようなことを考えて研究しているのか?とか個人的な話も混ぜた構成にしてみました. 研究者の考えとかはやぶさ2の話は時折うなずいたりしながら, 興味を持って聞いていただけたように思いました. しかし, 今回お招き頂くきっかけになった炭酸塩岩の衝撃変成についての研究紹介のところは力が入りすぎてしまったのか, 眠そうなお客様がそこそこ観られました… こういうイベントでの話術というのも考えないといけないな…と反省するよい機会となりました. 

質問時間ではSCI衝突で形成されたクレータの大きさは事前予測と比べてどうだったのか?, あなたの研究で一番「尖って」いるのはどの部分か?など結構突っ込んだ質問が飛んできて驚きました. 講演の後でお客様に持参した隕石, 岩石を観ていただきました. 小学生が「全然違うね!」と言ってくれたので我が意を得たり, と心の中でガッツポーズを決めました. 後日頂いたアンケート結果では講座内容について~80%の方が「非常に良かった」と回答(図7)してくださっていて, ほっとしました.

図7. 後日頂いたアンケート集計結果. ご満足頂けたようである.

お客様を見送って, 千葉市科学館の皆様にご挨拶して, Qiballを後にしました. せっかく普段はなかなか来ない千葉駅の方まで来たので, 以前から気になっていた「えびすや」さん(図8)にて夕食を頂くことにしました. 松重豊さんが主演のドラマ「孤独のグルメ」に登場したお店です. ドラマの中の主人公の五郎さんが「にんにくスープ」を飲んでいたのが印象に残っていて, いつか行ってみようと目論んでいたのでした. お店に入ってにんにくスープを注文し待つことおよそ10分, いい香りとともににんにくスープが目の前にやってきました(図9). にんにく風味はするけれども, 全くきつくなく, むしろ上品ですらある優しい鳥スープで, めちゃくちゃ美味しかったです. またのせられた玉子をトロンと崩しますと黄身のコクと相まって最高の味になりました. 千葉市科学館見学からえびすやさんで食事というのはよいコースかもしれません. 

図8. えびすや外観. 時間を潰してから向かったものの若干はやく到着したので, Closedになっていた. 開店と同時に入店したが, 次から次へとご予約のお客様が来店していて, 人気が伺えた.

図9. 夢にまでみたにんにくスープ. このブログを書いていてもう一度食べたくなっている.

(くろさわこうすけ)