小惑星探査機「はやぶさ２」が、2018年06月27日に小惑星「リュウグウ」に到着して5か月以上経ちました。「リュウグウ」の形がはっきりとわかり、タッチダウンに向けての様々な運用を行ってきましたが、現在、「合」運用というものを実施しています(はやぶさ2プロジェクトサイト「運用状況」)。
「合」というのは、観測者(我々の場合地球)から見て、注目する天体が太陽(などの天体)の方向に一直線に並ぶ状態を言います。さらに「合」には、「内合」と「外合」という状態があり、前者は、観測者と太陽の間に注目する天体があり、後者は、観測者と太陽の向こう側にある状態です。
地球と小惑星「リュウグウ」、太陽の位置関係を計算した結果が下の表です。
12月12日頃、地球から見て、リュウグウ(=はやぶさ2)が最接近し、”太陽-地球-リュウグウ”角が、0.48度近くまで近づきます。太陽視直径はおよそ0.5度とかいいますから、実は完全に重なる「合」にはならないのですが、それでも、探査機と地球の通信をしようと思うと、通信の電波は太陽表面近くを通らなくてはならず、非常にノイズがはいり通常と比較して通信が困難になり得ます。このため、「合」に近い期間は、通信が出来ずなにも命令を送れないような場合でも探査機に危険が無いような運用をしているのです。
「合」運用は、ある意味、岩だらけの「リュウグウ」へのタッチダウンを考えるための、
よい時間になっている気がします。打ち上げをおこなった、種子島の射場にはいるときの定番(?)挨拶「ご安全に！！」を思い出しつつ、来年はタッチダウンを含めた特殊な運用を、なんとしても「安全に」成功させたいものです。
(山田学)

表: NASA, JPLの小天体データベースで公開されているリュウグウの軌道パラメータを使って
計算した地球・太陽・リュウグウ角等。