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NOAA(アメリカ海洋大気庁)のサモア~中央太平洋深海探査航海中です

サモア時間の4月27日(木)からNOAA(アメリカ海洋大気庁)の、2017年中央太平洋深海探査航海(Mountains in the Deep: Exploring the Central Pacific Basin)のレグEX1705が行われています。科学チームにコアメンバーとして参加しております松本亜沙子です。
今回の航海はアメリカ領サモアから海洋保護区離島海域、そしてハワイに至る太平洋の広範囲にわたって行われています。研究船・無人探査機(ROV)などのプラットフォームを用いた広域科学調査により、海域の基礎となる生物・海底資源などの地質の情報を収集することが目的です。

Image courtesy of the NOAA Office of Ocean Exploration and Research.
サモア海域での航海は4月21日に終了し、その後中央太平洋でマッピングを行い、4月27日から本航海が始まりました。2月にスタートして、サモア→北部フェニックス→サモア→ライン諸島(本航海)→ハワイと段々と北上し9月末まで続く予定です。これらの航海によって南太平洋からハワイまでにわたる生態系の地理的変異、太平洋の海山の地質年代とプレートテクトニクスなどについて明らかにしていきたいと考えられています。
サモア海域航海では毎日のように太陽妨害に苦しめられました。太陽妨害とは地上の受信アンテナと衛星と太陽が一直線上に並び、衛星から送信さる電波が妨害される現象で、ちょうど太陽が干渉する→10分から30分間は船との通信が完全に途切れます。
サイエンスチームは海底からの映像と音声を衛星中継に基づいてリアルタイムで解析していくので、この通信が途切れてしまうと何も出来なくなってしまいます。地球と太陽の位置関係に非常に影響を受けた航海でした。
生物に関しては特にサンゴとカイメンの形成する深海生態系をターゲットにしています。本航海のダイブでもっともエキサイティングな光景の一つが以下の写真の傘のような形のサンゴ・カイメンの集合体です。この集合体にものすごく沢山のエビ、カニ、クモヒトデ、魚が見つかることでも分かるように、深海サンゴ・カイメンは非常に多くの生物の棲むことのできる生態系を深海に形成する生物として知られています。写真の中央の白い部分がカイメン、紫と黄色の部分はそれぞれ別の種類のサンゴになります。深海は地球上の中で最も広い生息環境ですが、その中で特に生物に富んでいて多様な生態系です。

Image courtesy of the NOAA Office of Ocean Exploration and Research, Mountains in the Deep: Exploring the Central Pacific Basin.
航海中はほぼ毎日潜水船による深海ダイブがありますが、サイエンスチームは衛星経由でライブストリーミング映像を共有しながら、研究者のディスカッション、そしてリアルタイムデータベース作成を行っています。1ダイブはだいたい6時間から9時間ほどで、日本時間では午前4:30頃~午後14:00頃になります。
興味の或る方はライブストリーミングをご覧下さい。
http://oceanexplorer.noaa.gov/okeanos/media/exstream/exstream.html
中央太平洋航海は5月20日まで続きますが、ライブストリーミングの時間外には過去の動画を見ることが出来ます。
今回の中央太平洋海山探査航海の動画や写真なども以下のページから見ることが出来ます。
http://oceanexplorer.noaa.gov/okeanos/explorations/ex1705/welcome.html

(松本亜沙子)