ISS流星観測プロジェクト「METEOR」

サイエンス

流星(メテオ)の科学

meteor_cometdebris

  • 流星とは彗星や小惑星から放出された1mm~1cm程度の塵が大気に突入する際,高温高圧のプラズマ状態となり発光する現象です。
  • 流星体発光の明るさ(輝度)は主に塵の速度と質量で決まります。
  • 主な流星群の速度はわかっているため、観測から得られた流星の輝度と飛跡から各流星群の流星体の質量(サイズ)を求めることができます。
  • レンズの前に透過型回折格子を取付けて、流星発光輝線の分光観測を行います。
  • 可視域の流星発光の輝線スペクトルからFe, Mg, Ca, Naなどの主要元素の相対存在度を推定できます。

(画像出典:http://certificate.ulo.ucl.ac.uk/modules/year_one/ROG/comets_meteors_meteorites/conWebDoc.13857_files/Comet-debris-200.gif)

meteor_diffractiongrating

メテオ透過型回折格子

meteor_gyosyaza

ぎょしゃ座流星群の分光画像(http://aurigid.seti.org/)

流星群観測から母天体探査へ

meteor_meteorshower

  • 流星群とは流星の軌跡が天球上のある一点を中心に放射状に広がって出現する流星の集まりです。
  • 流星の原因となる塵は軌道計算から彗星または小惑星から放出されたことがわかっています。
  • 流星群をもたらす塵を放出した天体を流星群の母天体と呼びます。
  • 一年で決まった時期に現れる主要流星群の母天体は特定されているため、各流星群の観測データ(流星体の質量や化学組成)から、流星の母天体の物理・化学特性を理解できる。→メテオプロジェクトの流星観測は彗星・小惑星探査に匹敵します!

(画像出典:http://www.astronomy.com/observing/sky-events/2013/12/observe-a-gem-of-a-meteor-shower)

最優先観測対象:主要流星群

流星群 母天体 活動期間(極大) 突入速度 ZHR*
しぶんぎ座 小惑星2003EH1など 1/1-1/5 (1/3) 41 km/s 120
4月こと座 Thatcher彗星 4/16-4/25 (4/22) 49 km/s 18
みずがめ座η 1P/Halley彗星 4/19-5/28 (5/5) 66 km/s 60
みずがめ座δ 96P/Machholz 1彗星 7/12-8/19 (7/28) 41 km/s 20
ペルセウス座 109P/Swift-Tuttle彗星 7/17-8/24 (8/12) 59 km/s 100
10月りゅう座 21P/Giacobini-Zinner彗星 10/6-10/10 (10/8) 20 km/s var
オリオン座 1P/Halley彗星 10/2-11/7 (10/21) 66 km/s 23
おうし座南群 小惑星2004TG10 9/25-11/25 (11/5) 27 km/s 5
おうし座北群 2P/Encke彗星 9/25-11/25 (11/12) 29 km/s 5
しし座 55P/Tempel-Tuttle彗星 11/10-11/23 (11/17) 71 km/s var
ふたご座 小惑星3200Phaethonなど 12/7-12/17 (12/14) 35 km/s 120
こぐま座 8P/Tuttle彗星 12/17-12/26 (12/22) 33 km/s 10

*ZHR:天頂出現数、Zenithal Hourly Rateの頭文字。理想的な条件下で、1人の観測者が観測できる、1時間あたりの群流星数のこと。
そのほかにも

  • マイナーな流星群や散在流星、突発的な天文イベント
  • 大気圏再突入する輸送機
  • NASAのリクエストに応じて、地上の特定地域(災害発生地域など)の観測

ページの先頭へ