メンバーResearcher members

客員主席研究員

杉田 精司Seiji SUGITA

米国ブラウン大学地球科学専攻博士課程修了。博士(Ph.D.)。

ブラウン大学ポストドク、NASA エイムズ研究センター招聘研究員、東京大学理学系研究科助手、東京大学新領域創成科学研究科准教授、同教授などを経て2014年より東京大学理学系研究科教授。2009年より千葉工業大学惑星探査研究センター(PERC)客員主席研究員。

その他、「はやぶさ2」探査の可視カメラの科学主任研究者、Hera探査のScience Management Board member、Comet Interceptor探査のInterdisciplinary ScientistとTarget Identification WG Deputy Lead、米国天文学会惑星科学部門(DPS)の連携論文誌Icarusの編集委員などを務める。

専門は惑星科学。

地球がなぜ大気と海洋を持ち、生命を宿す惑星になったかを解明することを目指して研究をしています。惑星の形成と進化に重要な天体間衝突の物理過程の解明と、惑星探査の両面から取り組んでいます。現在進めている主な研究テーマを以下に挙げます。

  1. はやぶさ2、はやぶさ2#探査(https://www.hayabusa2.jaxa.jp/
    「はやぶさ2」の可視カメラの科学責任者(PI)としてハードウエアの開発から科学観測運用、データ解析に携わってきました。現在は、小惑星リュウグウについて得られたリモートセンシングデータとリターンサンプルの両者を繋ぐ研究を行っています。特に、小惑星リュウグウ表面に見つかった様々な可視スペクトルを持った岩片について興味を持っています。これらはリュウグウの母天体の様々な層から来た可能性があるので、この素性が分かればリュウグウ母天体の内部構造の解明に繋がると期待されます。同様の岩片はNASAのOSIRIS-RExが探査した小惑星ベヌー上にも見られます。これらの調査によって、太陽系初期に生まれた含水鉱物と炭素に富む微惑星の解明をしていきたいと考えています。
  2. Hera探査(https://www.heramission.space/)
    ESAとJAXAが共同で行う小惑星探査計画Hera(2024年打上予定)では、NASAのDART探査機の人工衝突で生じた小惑星ディモルフォス上の地形変形や物質移動を詳細に調べることにより、人工衝突が小惑星にどのような物理過程を引き起こしたかを解明し、将来のプラネタリーディフェンスに備えます。我々は、日本の「はやぶさ2」が行った世界初の小惑星上の人工衝突(SCI実験)の実績を踏まえて、Hera探査の科学観測計画立案および科学解析に貢献していきます。特に、DART衝突は標的天体のディモルフォスに比して規模が大きかったので、単純なお椀型クレーターが形成されず、ディモルフォスを大規模変形させた可能性が高いです。そのため、単純な画像解析だけでは、衝突の記録を正確に読み取ることができないだろうと予想しています。我々は、新しいデータ解析手法の開発と衝突物理の理論計算を組み合わせて、人工衝突の過程解明を目指しています。
  3. Comet Interceptor(CI)探査 (https://www.cometinterceptor.space/)
    ESAとJAXAが共同で行う彗星探査計画CIは、世界で初めての長周期彗星へのフライバイ観測を目指して、2029年打上げに向けて準備が進められています。長周期彗星は、加熱による揮発性物質の散逸や表面分化の影響が少ないため、これまでの探査で調査されてきた短周期彗星に比べて太陽系初期の情報を正確に記録していると考えられています。フライバイ観測において得られる様々な科学データを可視カメラのデータを中心に総合的に解析することで、太陽系初期進化の明らかにしていきます。
  4. 将来の月惑星探査に向けた理学計測装置開発
    将来の月惑星探査では、これまで以上に着陸探査やサンプルリターン探査が重要な役割を果たします。こうした中、我々はレーザー誘起元素分析計(LIBS)、多バンド分光顕微カメラ、着陸機用広角カメラ、火星大気中の希ガス分析装置など多方面の基礎開発を行っています。

趣味:水泳、サイクリング