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はやぶさ2帰還と次の旅

ニュース報道の通り,現在地球に向かって航行中の「はやぶさ2」は2020年12月6日(世界標準時)にカプセルを投下後,再び地球重力を振り切って次の旅にでることになりました.目標天体は小惑星 1998KY26.2031年の夏にランデブー(接近して,その付近に留まる)の予定です.

金星フライバイを経由して,別の小天体に行く案もありました.しかし「はやぶさ2」はもともとリュウグウ(太陽に最も近づいた時でも地球軌道よりもわずかに内側に入る程度.もっとも遠ざかった時は火星軌道くらい)を探査するために作られた探査機なので,あまり太陽に近づいて良いようには作られていません.装置がダメージを受ける可能性があるという事で,金星ルートは不採用となりました.

ちなみに 1998KY26というのは仮符号で,1998年5月後半に見つかった小惑星であることを表しています.リュウグウの元々の仮符号は 1999JU3 で 1999年5月前半の発見ですから,1998KY26 はリュウグウよりも1年前から存在が確認された天体という事になります.しかもリュウグウと似た組成を持っている可能性が高いです.じゃあなぜ 1998KY26 が「はやぶさ2」の目標天体にならなかったのかといえば,直径が30mしかなく周期10分という高速自転をしていて,確実に着陸してサンプルを回収するターゲットとしては難しいためです(このほかにもたくさん理由がありますが).これだけ小さな天体が詳細に観測された例はありません.

ひとつ大きな仕事を成し遂げた「はやぶさ2」はより困難な課題に挑戦する権利を得ました.次はどんな世界を見せてくれるでしょうか.我々も楽しみです

 

参考: 小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会 (ファン!ファン!JAXA!サイト