2013215日にロシア・チェリャビンスクに落下した小惑星(隕石)について

 

2013220日 

和田浩二 [千葉工業大学 惑星探査研究センター(PERC) 上席研究員]

 

Q. 大気圏突入前の小惑星(隕石)の大きさと速度はどれくらいだったのですか?

 

A. 大きさは直径17m (質量1万トン),突入速度は毎秒18km (NASA発表,2013216日現在)と推定されています[1]

 

NASA発表の推定値は,世界中に展開されている空振計[2]のデータなどを使って算出されたものだそうです.また,小惑星が大気圏に突入すると衝撃波が発生しますが(後述),その衝撃波が大気中を伝わり空振計を揺らすことでそのエネルギーなどを推定することができます.

 

幾つかの隕石(ばらばらになってもとの大きさよりかなり小さくなっていますが)が発見されていることから,小惑星は大気中で燃え尽きずに地上まで届いたことになります[3].そのためには大気圏突入前の大きさとして岩石質なら数10cm以上が必要になります.また,1908年のツングースカ爆発に対して見積もられている隕石サイズは50m程度ですが,今回はツングースカ爆発よりはエネルギーが小さいと考えて良いでしょう.したがって,今回の大気圏突入前の隕石の大きさとしては,およそ1m 〜数10m の範囲であることが予想され,NASA発表のサイズが妥当であることが分かります.

 

また,宇宙から地球に衝突する物体は,少なくとも地球の脱出速度である毎秒11.2km以上の速度で衝突します.脱出速度とは,天体の重力を振り切って飛び出すのに必要な速度ですが,逆に初速を持たないで地球の重力に引かれて落下してくる物体が最低限持つ速度になります.通常はある程度の初速を持って地球に衝突してきますから,地球近傍の小惑星が衝突する際には毎秒1520km程度の速度になっています.毎秒18kmというNASA発表も妥当な速度であることが分かります.

 

 

Q. 大気圏に突入した隕石はなぜ光るのですか?また,どの高度から光り出すのですか?

 

A. 大気の抵抗(摩擦)を受けて隕石の表面が加熱されることで光と熱を放出するようになり,およそ高度100kmぐらいから光り出します.

 

大気は地表面が最も濃く,高度が増すにしたがって薄くなります.その薄くなり方は指数関数で表せます.例えば高度zにおける大気密度r は以下のような式で与えられます:

ここでr0は地表面(z=0)における大気密度で1.2 kg/m3hはスケールハイトと呼ばれ地表面密度がe分の1即ち0.37倍になる高度を表し,地球大気ではおよそ8kmになります(およそ対流圏の高さ程度になります).高度100kmでは,大気密度(大気圧)が地上のおよそ100万分の1程度に過ぎませんが,毎秒18kmという高速で突入する隕石を熱するには十分な抵抗(摩擦)を生み出すことになり,その高度から隕石が光だすことになります.突入に伴い高度が下がるほど濃い大気中を通過することになるので,どんどん輝きが増していくことになります.

 

Q. では,隕石が大気から受ける圧力はどれくらいになるのですか?

 

A. 高度によりますが,最大で100 MPa 1000気圧)[4] 以上の圧力になり得ます.

 

大気中を高速で運動する物体には,その運動速度の2乗に比例した圧力が抵抗としてかかります[5].また,大気密度が大きいほど(濃いほど)その抵抗は大きくなります.具体的には,大気密度rと運動速度vからおよそ以下の式で見積もることができます:

毎秒18kmで通過すると,高度100kmでは,およそ1000Pa (100分の1気圧)に過ぎませんが,高度30kmではおよそ10MPa (100気圧), 高度10kmではおよそ100MPa (1000気圧)にもなります.地上付近では300MPa以上という計算になります.

 

 

Q. 隕石が大気圏を通過中はどれくらいの温度になっていますか?

 

A. 隕石自体は数千度,その前面の大気は数万度以上に加熱されると考えられます.

 

隕石は大気の音速(毎秒300m程度)より遥かに大きい速度で大気圏を通過するため,隕石の突入前面の空気は圧縮され,いわゆる衝撃波面が形成されます.その圧縮された空気は,周囲の大気温度に比べてマッハ数(速度と音速の比,毎秒18kmの速度ではマッハ数は50以上になる)の2乗に比例し高温になります.マッハ数が50であれば,大気温度よりおよそ1000倍も高温になり,仮に大気温度が100K-173℃)であれば,計算上10万度にもなります.太陽の表面温度が約6000度ですから,太陽より十分明るいということになり,昼間でもその発光が見えるわけです.隕石自体はこの高温の大気によって数千度に加熱されて発光するとともに,その表面は溶けてしまいます.こんな温度で加熱されれば隕石全部が一瞬で溶けてなくなってしまうのではないかと思われますが(実際に小さいとそうなりますが),ある程度大きいと表面が溶けては剥がれ溶けては剥がれを繰り返すことで,隕石の内部まで加熱されることが防がれています(アブレーションとよばれる現象です).

 

 

Q. 隕石はどんどん小さくなっていくのですか?

 

A. はい.

 

表面が溶けては剥がれることを繰り返していく(アブレーション)ことで,少しずつ小さくなっていきます.今回の直径17mの隕石では,途中で破砕分裂することがなければ直径15m程度にまで小さくなると計算されます.

 

 

Q. 隕石はどんどん減速されていくのですか?

 

A. はい.

 

大気から抵抗を受けるため減速します.それに加えて,アブレーションによって小さくなっていくことで,より減速されやすくなります.今回の毎秒18kmで突入してきた直径17mの隕石が途中で破砕分裂しなければ,地表面に到達するころには毎秒11km程度にまで減速される計算です.とはいえ,その減速も隕石のサイズ次第であり,大きいほど減速されません.直径が50m以上もあればほとんど減速されないといっていいでしょう.

 

 

Q. 隕石がある高度で爆発したように明るくなったのはなぜでしょうか?

 

A. 隕石がある高度で一気に大規模に破壊されて分裂したためです.

 

前述したように,隕石は大気を通過中に大きな圧力を受けますが,その圧力に隕石自体が耐えられるか,というとそうはいきません.隕石は岩石であり,岩石の強度は,引っ張り強度で10MPa程度,圧縮強度でも100MPa程度です[6].したがって,大気から受ける圧力がこの強度を超えてしまうと隕石は破壊されてしまいます.先ほど示した計算結果によれば,大気の動圧は高度30km10MPa, 高度10km100MPaということでした.したがって,破壊される高度としては1030kmになり,隕石が岩石を主成分とする限り必ず破壊されると考えてよいでしょう.こうして一気に破壊されると,大量の破片が生み出され,輝く表面積の合計が一気に増えることになるため,突然爆発したように明るくなると考えられます.また,破片は小さいために,大気による急激な減速を受けるため,その破壊された場所に留まることになります.その結果,爆発的に明るくなった部分が飛行経路上を爆発前の速度で流れていくことはありません.実際,爆発したように明るくなった高度はおよそ2025kmであると報告されており,ここでの説明と一致する結果となっています.

 

なお,以上は岩石質の隕石の場合の話であり,これが「隕鉄」であれば話が違ってきます.隕鉄とは主成分が鉄(正確には鉄ニッケル合金)からなり,もともとは小天体の中心にあった金属核を構成していたものと考えられています.その小天体が破壊されることで金属核のかけらが飛び散り宇宙を漂い,やがて地球に落下して隕鉄として我々が発見するに至るわけです.この隕鉄の強度は数100MPaあると言われています.先ほどの計算では地上付近でも大気から受ける圧力は300MPaでしたので,隕鉄はこの圧力に耐えることができ,破壊されないまま地上まで到達することが可能となります.実際,岩石質の隕石で大きな塊はあまり発見されませんが,大きな隕鉄は良く発見されています.

 

 

Q. 明るくなってから数分後に大きな音とともに窓ガラスが割れたり人が吹き飛んだりしたのはなぜですか?

 

A. 隕石が大気中を通過した際に生じた衝撃波が大気中を伝わって窓ガラスなどを割ったためです.

 

大気中で音速を超えて通過すると,いわゆる「マッハコーン」と呼ばれる円錐状の衝撃波が発生します.音速以上で大気中を移動すると大気が圧縮され,その圧縮された部分にエネルギーが溜まります(正確にはエントロピーが上昇し内部エネルギーが上昇します).こうして高圧の波が発生しこれが衝撃波として大気を伝わります.この衝撃波が地表面まであまり減衰せずに到達した結果,十分な圧力となって窓ガラスなどのモノが破壊されたというわけです.隕石の通過速度は超音速である一方,マッハコーンによる衝撃波の伝播速度は音速であるため,隕石が通過後しばらくたってから衝撃波が到達することになります.その圧力は,地表面大気圧の2倍程度になります.周囲の大気圧を差し引くと窓ガラスは一平方メートルあたり約105 Nの力[7],すなわち10トンの重さに相当する力がかかったことになります.そりゃ割れます.

 

なお,超音速で飛ぶ戦闘機の通過の際にもこの衝撃波を感じるでしょう.ただし,この場合はエネルギーが小さく十分減衰するために窓が振動する程度で収まっています.

 

 

Q. 隕石が通過した経路上に雲のようなものができていましたが,あれは何ですか?

 

A. おそらく飛行機雲のようなものではないかと考えられます.

 

隕石は大気を通過していくとアブレーションによって剥がされた破片を塵として経路上にまき散らしていきます.その塵を核として周囲の水蒸気が凝結し,雲を形成したと考えられます.ただし,かなり上空の大気(成層圏)に十分な量の水蒸気があるのか?という指摘もあり,まだ良く分かっていないと言えましょう.

 

 

Q. 直径17m もあれば,地上でも大きな隕石を容易く発見できるかと思いきや,発見が難しく,発見されても小さいのはどうしてですか?

 

A. 隕石は破砕されるために小さなかけらとなって地面に到達するからです.

 

先に述べたように,岩石質の隕石は破壊されて小さな破片になってしまいますから,地面に到達したときには小さなものばかりです.また,地表面にもとからある岩石などと区別が容易でなかったりすることが発見を難しくさせていると考えられます.

 

 

Q. 落下してきた隕石のかけらが直撃すると痛いでしょうか?

 

A. 痛いとはおもいますが,当たりどころが悪くなければ痛いだけで済む確率が高いです.

 

隕石は破砕されて小さな欠片になってしまうと,後は空気抵抗と重力が釣り合う速度(いわゆる終端速度)で落下してきます.その終端速度は直径1mの岩石球であればおよそ秒速90m,すなわち時速300km程度であり,これはかなり危険です.しかし終端速度はサイズの2分の1乗に比例するので,小さくなるほどゆっくり落下してきます.10cm程度の隕石片であればおよそ時速70kmであり,プロ野球の投手が投げるスピードより遅くなります.1cmの岩石片ならおよそ時速20kmです.この程度であれば当たりどころさえ間違わなければけがで済むことでしょう.

 

Q. これまで隕石に当たった人はいるのでしょうか?

 

A. いますが,未確認情報も含めてほんとにまれです.

 

1954年にアメリカ・アラバマ州で民家を突き抜けて主婦に当たったという記録や,2009年にドイツの少年に当たったという報告があります.民家を突き破ったり車を直撃したりと「ニアミス」はありますが,なかなか人には当たらないようです.今回の隕石落下では人が隕石に直接当たったわけでは有りませんが,衝撃波によって多数の負傷者が出ています.隕石落下に伴いこれだけの負傷者が出たのは歴史上はじめてのことでしょう.

 

 

Q. 直径が6mのクレーターが形成されたようです.どれくらいの大きさのものが落下してきたのでしょうか?

 

A. おそらく数10cm1m程度の大きさの隕石片が落下してきたと考えられます.

 

物体が高速で地面に衝突するとクレーターができます.衝突物体の大きさ・速度によってどれだけの大きさのクレーターが形成されるのか,ということを推定する公式(専門的にはスケーリング則と呼びます)が室内実験などによって有る程度調べられています.そのスケーリング則を用いると,衝突速度にもよりますが衝突物体のおよそ10倍程度のクレーターが出来上がることになります.したがって,直径6mのクレーターが形成されたのであれば,数10cmからせいぜい1m程度の大きさの隕石破片が落下してきたものと考えられます.

 

 

Q. 今回のような規模の隕石落下は珍しいのでしょうか?

 

A. 人間の寿命程度の時間スケールで見れば珍しいですが,地球の歴史の時間スケールで見れば珍しくは有りません.

 

隕石の落下頻度はそのサイズによっており,サイズが小さいほど頻繁に落下してきます.これは,宇宙に漂っている小惑星のサイズ分布を反映しており,小さいサイズのものほど大量に存在しているからです(もっと言うと,小さな破片は小惑星の破壊で生じていると考えられ,破壊現象では一般的にサイズが小さい破片ほど多く生成されることを反映しています).その頻度は,直径1m程度のもので10日に一度程度,10mで数十年に一度程度,50mで1000年に一度程度,10kmで一億年に一度程度,「地球上のどこか」に突入してくると推定されています.今回の17mの小惑星だと,100年に一度程度でしょうし,それが地球表面の7割を占める海の上ではなく陸地,しかも人が住んでいる都市に落下してきた,というのは人が一生に一度見られるかどうかというものです.ただし,46億年という地球あるいは太陽系の歴史の長さから考えれば全然珍しくはない,ということになります.

 

 

Q. 今回の隕石落下で500キロトンのエネルギー,広島型原爆の30倍のエネルギーが解放されたと言われていますが,どういうことでしょうか?

 

A. 大気圏突入時に小惑星が持っていた運動エネルギーを見積もったものです.

 

「キロトン」とは正確にはTNT火薬がもつエネルギーに換算したときのTNT火薬量をいうもので,TNT火薬換算エネルギーと呼びます.500キロトンのエネルギーとは,500キロトンのTNT火薬が放出するエネルギーといういうことになります.今回の落下してきた隕石(小惑星)の運動エネルギー=1/2×(質量)×(速度の2)を計算し,それをTNT火薬換算すると,約400キロトン(あれっ?報道と違うな)となります.広島型原爆はTNT火薬換算で15キロトンとされていますから,今回の隕石が大気圏突入前に持っていたエネルギーが広島型原爆の26倍程度ということになります(有効数字一桁なら30倍といってよいか).

 

 

Q. 今回の隕石は大気圏に斜めに突入してきたようです.どうして真上から突入してこなかったのでしょう?

 

A. 真上から突入してくるのは非常にまれで,斜め衝突がむしろ一般的です.

 

ランダムな方向から衝突してくることを考えると,衝突角度45°の斜め衝突の確率が最も高くなります.したがって,真上から突入してくることはほとんど有りません.また,非常に低角度で突入してくることも希になります.詳しい解析を待つ必要がありますが,画像を見る限り今回は結構な低角度で突入してきたような印象です.そういう意味では珍しい衝突だったと言えるでしょう.また,低角度で入射すると大気圏を通過する距離が長くなるため,より大気にエネルギーを与え長期間光り輝いていることになります.

 

 

Q. もし大気圏がなかったらどうなっていましたか?

 

A. 直接地面に衝突することで,直径200300m程度のクレーターが形成されることになります.

 

大気がなければ減速もされませんし,アブレーションや破壊分裂によって小さくなることも有りません.直径17m,速度毎秒18kmのまま,地面に衝突することになります.先ほど述べた「スケーリング則」を用いて推定すると,直径が200300m程度のクレーターが形成されることになります.また,クレーターとは地面を掘り返した孔ですから,大量の物質が掘り返されて放出されます.この放出物は「イジェクタ」と呼ばれますが,これがクレーターの周囲に落下堆積することになります.明瞭に堆積する範囲だけに限ってもクレーター径の23倍程度の範囲になります.

 

なお,衝撃波による被害は直径200キロの範囲にまで及んでいると報道されております.これに比べて大気がなかったときに形成されるクレーターの大きさが遥かに小さいのは,地表面にエネルギーを伝播させることだけを考えると大気中でエネルギーを解放して伝播させた方が地面にクレーターを形成するより効率が良い,ということを反映しているからです.そうすると,大気がなかった方が小さな被害で済んだのでは?と誤解されてしまうかもしれませんが,そうではないです(もちろん大気がなかったら,というのは仮想的な話ですが).もし200300mのクレーターが形成されれば,クレーターの深さが数10mになることと相まって,その場所は確実に被害甚大です.またイジェクタが降ってくることによる被害も大きいと考えられます.今回の衝突でそうならなかったのは,まさに大気があったことによるものなのです.確かに被害は広範囲に及びましたが,単位地面あたりのエネルギーは小さく,窓ガラスが割れ負傷した程度で済んだということができます(もちろんこれは比較の問題であり,負傷および窓など建造物が破壊されたことは大変な被害であることには変わりありません).もし大気がなければ,地球表面は月面のようにクレーターだらけになっていることでしょう.

 

ただし,いくら大気があると言っても,サイズの大きな小惑星に対しては減速・分裂させることができず,クレーター形成が避けられません.たとえば,6500万年前にメキシコ・ユカタン半島に落下し恐竜を含む生物大量絶滅を引き起こした小惑星は10kmサイズであったと推定されており,直径180kmのクレーターが形成されています(現在では地下約1kmに埋もれてしまっているので直接見ることはできませんが).

 

 

Q. 2013216日に2012DA14という直径46mの小惑星が地球近傍を通過していきましたが,もし地球に衝突していた場合どうなっていたでしょうか?

 

A. ツングースカ大爆発と匹敵する規模の被害をもたらしたでしょう.

 

1908年にロシアのツングースカに落下し大爆発した天体が直径50m程度であると考えられており,直径46mはこれに匹敵するものです.この大きさになると大気による減速やアブレーションによるサイズ減少はほとんど無視できます.したがって,大気中で破砕されなければ,そのまま地面に到達して直径500600mのクレーターが形成されることになります.ツングースカの時のように大気中で破砕(爆発)すれば,クレーターは形成されませんが,広範囲にわたって(ツングースカのときは2000平方キロメートルにわたって樹木がなぎ倒された)被害がでることが予想されます.

 

 

Q. 隕石落下は災害をもたらす一方で研究者には貴重な研究材料が提供される機会であると考えられますが,隕石研究の意義はなんですか?

 

A. 隕石を分析することは太陽系の形成過程を読み解くことに繋がります.、

 

隕石はその大部分が小惑星のかけらですが,地球や火星などの惑星を作った原材料物質がなんであったのか,またどういう過程を経て現在の太陽系天体の姿になったのかを読み解くことができます.ただし,隕石は地球に落下して地面に到達できたということで大気を通過できた程の大きさ・強度のあるものという選別がなされたり,地球表面物質の汚染があったり,どこからやってきたのかが分からなかったりと,分析する上で問題もあります.こうしたことから,「はやぶさ」が小惑星イトカワから直接サンプルを採取して持って帰ってきたように,直接小惑星に行ってサンプルを持ち帰って分析することが重要な意味をもつことになります.なお現在計画されている「はやぶさ2」では,含水鉱物や有機物が存在していると考えられるC型小惑星1999JU3を探査しサンプルを持ち帰る予定です.また,隕石衝突のような天体の衝突現象は太陽系天体の形成過程にとって不可欠な重要な過程です.「はやぶさ2」では1999JU3に衝突体を衝突させる計画もあり,衝突現象の理解にも著しい貢献をすることが期待されます.



[1] http://www.nasa.gov/mission_pages/asteroids/news/asteroid20130215.html

[2] 空振計とは…火山や地震,核実験などによって大気中を伝わる振動を観測する装置.とくに低周波の振動を捕える.

[3]隕石とは宇宙から飛来して地上に落下したもので有る程度の大きさ(1mm程度以上)のものを言いますが,ここでは簡単に大気圏突入前のものも含めて隕石と呼ぶことにします.

[4] Paは圧力の単位で「パスカル」と呼びます.1気圧はおよそ1000 hPa (ヘクトパスカル)ですが,「h(ヘクト)」は100倍を意味しますので,10Pa になります.また,MPa(メガパスカル)は1Pa100万倍(「M (メガ)」は100万倍を意味します)となります.

[5]空気など流体中で運動することによって生じる圧力で,動圧とよばれます.お腹からプールに入ることを考えてみましょう.そっと浸かるとなんの抵抗もなくするっと入れますが,思い切り飛び込むと抵抗を受けて痛く感じます.これは速度をもって飛び込んだことによってプールの水から動圧を受けて痛く感じたというわけです.

[6] ものの「強度」は圧力の単位であらわされます.どれだけの圧力をかければ壊れるか?ということを示しているわけです.

[7] N(ニュートン)」は力の単位です.