研究員ブログ

[2019/09/17] 小惑星フェートンの掩蔽観測@函館

現在、惑星探査研究センターでは、JAXAと共同で深宇宙探査技術実証機「DESTINY+」計画の検討を進めています。

この探査計画では、ふたご座流星群の母天体である小惑星フェートン(ファエトンともいう)をフライバイ探査する予定であり、探査機に搭載する科学計測機器(カメラなど)の仕様を決定するためにも、小惑星の直径などのデータを事前にできるだけ精度良く知っておく必要があります

これまでフェートンの直径は、多くの地上望遠鏡や宇宙望遠鏡で観測されてきましたが、従来の観測方法では直径を間接的に計測することしかできず、それぞれの観測者ごとに最大で20%程度の観測値の開きがありました。

一方、小惑星が背景の恒星を隠す掩蔽(日食と同様の現象です)の開始時刻と終了時刻を、地上の複数個所で測定すれば、その小惑星の大きさや形を直接測ることができます。

フェートンは直径5-6km程度と小さい小惑星のため、掩蔽が起きる地上の領域はかなり狭く、また掩蔽の持続時間も非常に短いため、観測の機会は限られますが、2019年8月22日の明け方に北海道函館市付近で掩蔽が起こるとの予報を受けたため、数か月前から観測チームが編成され準備が行われました。

今回編成された観測チームはプロ・アマ総勢31名、16地点での観測を目論むという、国内においては前例のない規模となりました。

掩蔽観測集合写真1_20190821_small

上の集合写真は掩蔽前日の観測チームの様子です。この時点ではまだ全員揃っておらず、仕事の合間を縫って掩蔽直前に駆けつけて頂いた方もいました。

当日の観測については星ナビの記事函館新聞の記事にも詳しく報告されていますので、そちらを見て頂ければと思いますが、残念ながら天候に恵まれず、全地点で観測が不成立となりました。

しかし今回の観測準備を進める中で培われた人と人のネットワークや、観測機材の調達によって、今後の観測体制を支える上での土台が作られたのは大きな成果です。フェートンの掩蔽は、今後も何回かチャンスが訪れますので、今後も継続的に観測を続けていく予定となっております。

筆者は事前の調整や、機器の運搬手配など、主にロジスティクスを担当しました。チームの人数が多かったため、予想外の労力を費やしましたが、裏方仕事の重要性を認識しました。また観測時は、晩夏の北海道の夜風が身に染みて、非常に寒い思いをしたのが印象的です。

IMG_4777

上の写真は観測中の様子です(石田正行氏提供)。この写真は30秒間露光のため、周囲は明るく見えますが、実際には暗い場所でした(新函館北斗駅のやや北の地点)。空が雲に覆われており、星が全く見えないことがわかります。ちなみに風が強かったため、車を望遠鏡のそばに横付けし、風除けとしています。車の横で座っている人物が筆者。

(洪)

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