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洪研究員が有機物エアロゾルを生成する反応メカニズムを制約

タイタン・原始地球大気のヘイズの生成過程を解明―有機物エアロゾルを生成する反応メカニズムを制約―

千葉工業大学惑星探査研究センターの洪鵬研究員(当時:東京大学大学院新領域創成科学研究科)、東京大学大学院理学系研究科の関根康人准教授および杉田精司教授らは室内実験と数値モデルを用いて、土星の衛星タイタンや原始地球の大気中に存在する有機物エアロゾルを生成するメカニズムを探りました。その結果、中層大気においてはエアロゾル粒子表面での付着反応が卓越することがわかりました。この発見によって、タイタンと原始地球においてエアロゾル層が気候に及ぼす影響について再考を促すことになりました。

この研究成果は、欧州科学雑誌「Icarus」電子版に掲載され、2018年6月発行号に掲載されます。

ポイント

  • 土星の衛星タイタンは全球が分厚いヘイズ(有機物エアロゾル)で覆われており、酸素濃度が増大する以前の原始地球も似たような環境だった可能性があるが、ヘイズの生成過程はあまりわかっていなかった。特に、大気の中層において、太陽から照射される比較的波長の長い遠紫外線によってエアロゾルが生成される反応機構はあまり制約されてなかった。
  • 遠紫外線光源を製作し、タイタンや原始地球の模擬大気に照射することで有機物エアロゾルを生成した。エアロゾルの成長率や化学構造を測定し、また光化学反応計算との比較により、反応機構を制約した。
    ・メタンの少ない大気組成では成長率が小さいこと、またエアロゾル粒子は直鎖状炭化水素を多く含み、粒子表面での不均一反応によって成長していることがわかった。
  • 原始地球においては、従来考えられていたよりも有機物エアロゾル層は薄い可能性があることを示唆した。

詳細につきましては,下記をご参照下さい.

タイタン・原始地球大気のヘイズの生成過程を解明 ―有機物エアロゾルを生成する反応メカニズムを制約―
http://www.it-chiba.ac.jp/topics/pr20180306/

担当:千葉工業大学
惑星探査研究センター