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ロケットの燃焼実験やっています

みなさんこんにちは.

この春から新しくメンバーに加えていただき,同じ名前で所内をややこしくしている和田”豊”です.

そうです,かの有名な阪神の監督と同姓同名でtwitter上でもややこしくさせています(笑)

さて,少し私の研究を紹介を紹介したいと思います.専門はロケット推進工学で,周りの皆さんとは異なり工学系ばりばりの人間です.化学推進で火薬を使った固体ロケットから液体燃料を使う液体ロケット,また,そのちょうど中間になる固体の燃料と液体の酸化剤を使ったハイブリッドロケットなどについて研究を進めています.

図 ハイブリッドロケット概念図

特に最近はこのハイブリッドロケットの燃料に注目した研究を推進しています.ハイブリッドロケットは液体ロケットと固体ロケットのちょうど中間の性能を持ったロケットシステムで,固体ロケットよりも性能が高く,比較的シンプルな構成ながら液体ロケットのように推力制御や消炎・再着火などを行うことが可能です.固体の燃料にはプラスチックなど安全なものを使うことができ,低コストで安全性が高いことが特徴です.

これらの特徴を生かして低コストかつ推力制御ができる高機能なロケットの開発や,有人用のロケットとして注目されています.

しかし,燃料には安全なプラスチックなどを利用しているため,燃えるスピードが遅く,大きな推力を発生させることが苦手だったため実用化には至っておりませんでした.そこで,私の研究ではプラスチック燃料そのものを改良することで,低コストかつ燃えやすいプラスチック燃料を開発しています.

ハイブリッドロケット用の燃料は燃えやすいことだけではなく,大きな燃料を作った時,ひび割れないように燃料に強度や弾性を持たせたり,燃焼器と接着しないと隙間から火が入ってしまうため,接着性が良いことも必要です.
そこで私の研究では,良く伸び,しっかりと接着し,そしてたくさんの燃料が出てくるように低い温度で溶け出す”低融点熱可塑性樹脂”を開発しています.今日はその燃料を使った動画をお見せします.これは,どのくらいのスピードで燃焼するか,燃焼させたときの性能や効率はどうなるか,など基礎的なデータを調べるための小型燃焼実験の様子です.これまでに何十回も同じような実験を実施して基礎データを取得してきました.その結果,接着性に優れ,引っ張ると3倍も伸び,従来のプラスチック燃料よりも約3倍のスピードで燃焼する燃料の開発に成功しました.

現在は欠点である低密度を克服するため,燃料の高密度化を図っています.試行錯誤の結果,密度を約1.7倍にすることに成功しました.今はその高密度な燃料を用いて,燃焼実験を繰り返し基礎データの取得を行っています.将来はこれらの研究成果を生かして他のメンバーが開発している科学ミッション衛星を低コストに好きな時に宇宙へ打ち上げることが可能な千葉工大ロケットの開発につなげていきたいと思います.

(和田豊)