研究員ブログ

かわべ天文公園の望遠鏡の整備に行ってきました。

3月3日から6日まで吉田、奥平、石丸で和歌山県かわべ天文公園の望遠鏡の整備に行ってきました。今回は主に以下の作業を実施してきました。各作業の内容について簡単に紹介します。

・ドーム内でフラット画像を撮る方法の検討
・GPS受信試験
・雲モニターの性能試験

望遠鏡で精度の良い観測を行うには、均一な明るさの対象を撮像したフラット画像を使って観測画像を補正する必要があります。このフラット画像による補正(フラット補正といいます)をすることで、望遠鏡由来のノイズを除去できます。フラット画像を得るために通常は薄明時の空(日没直後あるいは夜明け直前の空が白んだ状態)を観測するのですが、たまたま薄明時の天候が悪いとフラット画像を取得できずせっかく撮った観測データの補正ができなくなってしまいます。そのような事態を避けるため、悪天候時に天文台のドームを閉じた状態でフラット画像を撮れる方法をこれまで検討してきました。今回いろいろと実験した結果、望遠鏡の筒先にトレーシングペーパーをかぶせて、ライトで照らしたドームの壁を撮ることで、薄明と似たフラット画像が撮れることがわかりました(図1、2)。今後は、かぽっと簡単に筒先にかぶせられるトレーシングペーパーの帽子?のようなものを作ることを考えています。

 フラットについての内容が長くなってしまったので、残りは手短に。

GPSは、正確な観測時刻を得るために使います。今回の試験により観測セットアップでGPS時刻を適切に取得できることがわかりました。これにより、太陽系外の複数惑星系の探査(専門的にはTTV法といいます)、小天体の掩蔽観測をかわべ天文公園でできる準備が整いました。

 雲モニターは、リアルタイムで全天の夜空をモニターするカメラです。これがあると、管制室にいながらにして、空の状態(晴れているのか?雲がどの方向にあるのか?)を常時確認することができます(これまではいちいち管制室の外に出て空を目視していたので大変でした…)。雲モニターで用いる候補のカメラの試験撮影をしてみたのですが、十分に機能することがわかりました(図3)。

 望遠鏡の整備が着々と進み、もうすぐ本格稼働が始まります。ご期待ください!(石丸 亮)

図1. 口径1mの望遠鏡の筒先にトレーシングペーパーをかぶせるのは結構大変でした…

 

図2. ドームの壁を観測して得たフラット画像。均一な明るさの対象を撮影するので本来は何も模様が写らないはずが、様々な模様が見えています。これらの模様は望遠鏡由来のノイズです。このフラット画像を使って、観測画像からノイズを除去することで、観測対象の像のみを抽出することができます。
ちなみに、フラット画像のリング状のパターンは望遠鏡の光学系に付着したホコリが写ったものです。毎回パターンが変わりうるため、きちんとフラット補正で除去しないと良いデータにならないのがわかると思います。

 

図3. 雲モニターで使うカメラの画像。月が出ているので、星が見にくい条件ですが、それでもオリオン座が見えています。