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月惑星科学会議(LPSC)に参加してきました!

こんにちは. 高速衝突施設担当の黒澤です.

少し前の話になりますが, 3/16-3/20に米国ヒューストンで行われた「Lunar and Planetary Science Conference」(LPSC)に参加してきました. 今年で46回目を数えるこの会議は, アポロ計画で持ち帰られた月試料の分析結果をいち早く報告する会議として始まったそうです. 現在では5日間に渡って, 4つのパラレルセッションを開催する固体惑星関係では世界最高規模の学会となっています. 今年PERCからは松井所長を含む4名が参加しました. 今回はその様子を簡単にご紹介します.

今年のLPSCの目玉は世界初の彗星着陸探査を実現した「Rosetta」, 火星大気の流出過程を観測中の「MAVEN」, 最大の小惑星Ceresに到着した「Dawn」に関する成果発表でした. 個人的には今回のLPSCで初めて情報が解禁されたMAVENの成果が興味深かったです. MAVENは現在の火星上層大気からの大気散逸過程を詳細に観測している途中です. 初期の金星, 地球, 火星は若い太陽からの強い太陽風や紫外線に曝され大気を剥ぎ取られたと考えられています. しかし, どのくらいの量の大気が失われたのかについては諸説が入り乱れています. MAVENの成果によって決着が付けられるのかもしれません. MAVENの観測期間中にSiding Spring彗星が火星近辺を通過したことで彗星の塵の金属元素量や同位体比なども計測できていたことは大変に驚きました. MAVENの成果が論文として公表されるのが楽しみです.

黒澤ははやぶさ2搭載の衝突装置(SCI)が小惑星表面にぶつかったのか?を数値計算で検討した結果と, 最近高速衝突実験室で進めている「人工流星生成実験」の結果についてポスターで発表してきました. 前者の発表については使用している数値計算プログラムである「iSALE shock physics code」を開発している研究者と直接情報交換ができて大変よい機会でした.
普段会えない海外の研究者と会話をするのも国際学会の楽しみの一つです. 今回はこれまでメールだけのやりとりをしていた共同研究者と顔を合わせて議論ができました. 想像とだいぶ異なって映画にでてきそうな長身紳士だったのでビビリました…。

毎年アメリカの片田舎(近所にはショッピングモールしかありません…)での開催ということもあって行く前はあまり乗り気でなかったのですが, 行ってみると色んな刺激をもらってまたここへ来て発表しよう, 議論しようと思いました. 近頃はこの二年間少しずつ準備を進めてきた実験を本格的にはじめつつあります. 良い成果を出して来年もヒューストンに行きたいと思います.
(黒澤耕介)

黒澤のポスター

アメリカンなランチ

ジョージ・ブッシュ空港のギター(黒澤の趣味はギターです.)